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共通(農業基礎)

光合成・呼吸・蒸散のちがい|植物の3つのはたらきを混同しない

農業技術検定3級で問われる光合成・呼吸・蒸散を、出入りする物質とはたらく時間帯で区別して整理します。栽培管理の理由づけにもつながる基本です。

光合成・呼吸・蒸散は、いずれも植物の基本的なはたらきとして毎回のように出題されます。ところが「二酸化炭素を吸って酸素を出す」「酸素を吸って二酸化炭素を出す」「水を出す」と似た言い回しが並ぶため、本番で取り違える人が少なくありません。この記事では、何が出入りするのかいつ行われるのかの2点で区別できるように整理します。

光合成:光を使って栄養をつくる

光合成は、葉の葉緑体で行われる、養分をつくるはたらきです。

材料と生成物を整理すると次のようになります。

  • 必要なもの:二酸化炭素、水、光エネルギー
  • できるもの:デンプンなどの炭水化物、酸素

つまり光合成では、二酸化炭素を取り込み、酸素を出します。そして光エネルギーが必要なので、光が当たっているときだけ行われます。夜間は光合成が行われません。

ここを押さえておくと、施設栽培で二酸化炭素を人工的に補う「炭酸ガス施用」の意味も理解できます。ハウスを閉め切っていると内部の二酸化炭素が光合成で消費されて不足し、光や温度が十分でも光合成が頭打ちになるためです。

光の強さと光合成の関係

光を強くしていくと光合成は活発になりますが、ある強さを超えるとそれ以上は増えなくなります。この頭打ちになる点を光飽和点といいます。

また、光合成による二酸化炭素の吸収量と、呼吸による放出量がつり合って、見かけ上ガスの出入りがゼロになる光の強さを光補償点といいます。光補償点より暗い場所では、光合成でつくる量より呼吸で使う量が多くなるため、植物は成長できません。日照不足が生育不良につながるのはこのためです。

なお、光を好む度合いは植物によって異なり、強い光を必要とする陽生植物と、弱い光でも育つ陰生植物に分けられます。

呼吸:栄養を使ってエネルギーを取り出す

呼吸は、光合成でつくった養分を分解して、生きるためのエネルギーを取り出すはたらきです。

  • 必要なもの:有機物(養分)、酸素
  • できるもの:二酸化炭素、水、エネルギー

光合成とちょうど逆向きの反応で、酸素を取り込み、二酸化炭素を出します。そして光合成と決定的に違うのは、昼も夜も、休みなく行われている点です。

ここは誤答が多いポイントです。「昼は光合成、夜は呼吸」と覚えてしまう人がいますが、正しくは「呼吸は一日中していて、光合成は昼だけ加わる」です。昼間は光合成の量が呼吸の量を上回るため、全体としては二酸化炭素を吸って酸素を出しているように見える、という関係になります。

また、呼吸を行うのは葉だけではありません。根も呼吸しています。土壌が水びたしになると根が酸素不足で傷むのは、根の呼吸が妨げられるためです。前に触れた土壌の気相の話とつながります。

貯蔵と呼吸

収穫した農産物も生きていて呼吸を続けています。呼吸は蓄えた養分を消費するため、呼吸が盛んなほど品質は早く低下します。低温で貯蔵すると日持ちするのは、温度を下げて呼吸をおさえているからです。食品系で扱う保存の考え方とも共通します。

蒸散:水を水蒸気として放出する

蒸散は、根から吸い上げた水を、主に葉の気孔から水蒸気として大気へ放出するはたらきです。

蒸散には次のような役割があります。

  • 水と養分を吸い上げる原動力になる:葉から水が出ていくことで、根から水を引き上げる力が生まれます。水に溶けた養分もいっしょに運ばれます。
  • 植物の体温を下げる:水が蒸発するときに気化熱を奪うため、強い日ざしの下でも葉が高温になりすぎるのを防ぎます。

気孔は蒸散の出口であると同時に、光合成に使う二酸化炭素の入り口でもあります。そのため植物は、水が不足すると気孔を閉じて水を守ろうとしますが、その代わりに二酸化炭素も入ってこなくなり、光合成も低下します。「乾燥すると生育が落ちる」背景には、この関係があります。

3つを表で区別する

出入りする物質と時間帯で並べると、区別がはっきりします。

はたらき取り込むもの出すもの行われる時間
光合成二酸化炭素・水酸素・炭水化物光が当たるときのみ
呼吸酸素・有機物二酸化炭素・水一日中(昼夜とも)
蒸散(水を根から吸収)水蒸気主に気孔が開く昼間

試験で迷ったときは、まず「酸素と二酸化炭素のどちらを出す話か」を確認し、次に「光がいるかどうか」を確認すると、選択肢を絞り込めます。

栽培管理と結びつけて理解する

この3つは、実際の栽培管理の理由づけにもなっています。

  • ハウスを換気するのは、二酸化炭素を補い、同時に高温を防ぐため
  • 密植を避け適切な株間をとるのは、下の葉まで光を届けて光補償点を下回らせないため
  • 苗を植えた直後に葉を減らしたり日よけをしたりするのは、根が十分に働けない間の蒸散をおさえるため

丸暗記ではなく「なぜその作業をするのか」で結びつけると、応用的な問われ方にも対応しやすくなります。

演習で確認しよう

農業基礎(共通)の一問一答には、光合成・呼吸・蒸散それぞれのはたらきを問う問題を収録しています。まぎらわしい選択肢の見分け方は、解いてみるのが一番の近道です。

土のなかで起きていることは土壌の基本を整理するにまとめています。根の呼吸の話とあわせて読むと理解が深まります。

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