畜産系の中でも、ニワトリは品種・体のしくみ・飼育管理と、出題のテーマが幅広い家畜です。この記事では、卵をとるニワトリと肉をとるニワトリの違いから、体のしくみ、飼育管理の基本までを整理します。
用途による分類
ニワトリは、何を生産するかによって大きく次の3つに分けられます。
| 用途 | 内容 | 代表的な品種 |
|---|---|---|
| 卵用種 | 卵をたくさん産むように改良された品種 | 白色レグホーン(白い卵)、ロードアイランドレッド(赤玉卵) |
| 肉用種 | 短期間で大きく育つように改良された品種 | ブロイラー(白色コーニッシュと白色プリマスロックなどを交配) |
| 卵肉兼用種 | 卵と肉の両方に利用する品種 | 名古屋コーチン |
卵の殻の色は品種によって決まり、白い卵と赤い卵(褐色卵)で栄養価に大きな差はありません。「赤い卵の方が栄養がある」という選択肢は誤りです。
採卵鶏とブロイラーの違い
| 項目 | 採卵鶏 | ブロイラー |
|---|---|---|
| 目的 | 卵を産ませる | 肉にする |
| 飼育期間の目安 | 生後約5か月で産卵を始め、1年以上産卵させる | ふ化後およそ7〜8週間で出荷 |
| 主な飼い方 | ケージで飼うことが多い | 床に敷料を敷いた平飼いが多い |
ブロイラーは、短期間で効率よく育つように改良されたニワトリの総称で、特定の1品種の名前ではない点に注意しましょう。採卵鶏は、羽が生えかわる時期に産卵を休みます。この時期をそろえて産卵の能力を回復させる「換羽」の管理も、採卵養鶏の技術のひとつです。
体のしくみ
歯がないかわりに「そのう」と「筋胃」がある
ニワトリには歯がありません。そのため、えさは次のような器官で処理されます。
- そのう:食道の途中がふくらんだ部分で、飲み込んだえさを一時的にためてやわらかくする
- 腺胃:消化液を出す胃
- 筋胃(砂のう):厚い筋肉の胃で、飲み込んだ小石(グリット)とえさをこすり合わせ、すりつぶす。焼き鳥の「砂肝」はこの部分
「歯のかわりに筋胃でえさを砕く」というしくみは、ウシの反すうと並んで、家畜の消化の特徴としてよく問われます。ウシの消化についてはウシの4つの胃と反すうのしくみで解説しています。
暑さに弱い
ニワトリの平熱は約41℃と高く、さらに汗をかくための汗腺がありません。暑いときは、口を開けて呼吸する(パンティング)ことで熱を逃がしますが、気温が高すぎると体温を下げきれず、えさを食べる量や産卵数が落ちたり、命に関わったりします。夏の鶏舎では、換気や送風、細かい霧(ミスト)で温度を下げる工夫が欠かせません。
卵のつくりと鮮度
ニワトリが1個の卵をつくるには、およそ24〜25時間かかります。そのため、よく産むニワトリでも、産卵はおおむね1日1個までです。
卵は、外側から次のような部分でできています。
| 部分 | はたらき |
|---|---|
| 卵殻 | 主成分は炭酸カルシウム。表面に細かい穴(気孔)があり、空気が出入りする |
| 卵殻膜 | 卵殻の内側にある薄い膜。微生物が入るのを防ぐ |
| 気室 | 卵のとがっていない方(鈍端部)にある空気のすき間 |
| 卵白 | 濃厚卵白と水様卵白がある |
| カラザ | 卵黄を卵の中央に固定するひも状の部分 |
| 卵黄 | ひなの成長の栄養源となる部分 |
卵は時間がたつと、気孔から水分が抜けて気室が大きくなり、濃厚卵白が水っぽくなっていきます。新しい卵を割ると卵黄と卵白が盛り上がり、古い卵では平たく広がるのはこのためです。水に入れたとき、古い卵ほど浮きやすくなるのも、気室が大きくなっているからです。
なお、有精卵と無精卵で栄養価に大きな違いはありません。市販されている卵の大半は無精卵です。
飼育管理の基本
- ひなの保温:ふ化したばかりのひなは自分で体温を保てないため、育雛器などで温めます。ひなが熱源の近くに集まっているときは寒く、離れて散らばっているときは暑すぎるサインです。
- 光の管理:ニワトリの産卵は、日の長さ(日長)の影響を受けます。日が短い季節でも産卵を続けさせるため、鶏舎では照明で光の時間を調整します。
- 衛生管理:鳥インフルエンザなどの伝染病を防ぐため、鶏舎に入る前の消毒や、野鳥やネズミが入らない対策が重要です。ニューカッスル病などの病気に対しては、ひなのうちからワクチンを接種して予防します。
- くちばしの手入れ:ケージや群れで飼うと、ニワトリどうしでつつき合う「尻つつき」が起こることがあります。飼育密度を適切に保ち、光の強さを調整するなど、ストレスを減らす工夫が予防につながります。
- アニマルウェルフェア:家畜がストレスの少ない環境で暮らせるよう配慮する考え方です。ニワトリでは、止まり木や巣箱、砂浴びの場所などを備えた飼い方への関心が高まっています。
演習で確認しよう
ニワトリの基礎を整理したら、畜産系の一問一答で実際の問題に挑戦してみましょう。ふ化日数や家畜の妊娠期間などの数字は、畜産系の数字の整理でまとめています。