環境系の選択科目では、環境共通に加えて造園・農業土木・林業から専門分野が出題されます。このうち林業は、作業の順序や森林の機能など、流れをつかんでおけば得点しやすいテーマが多い分野です。この記事では、頻出のポイントを順に整理します。
天然林と人工林のちがい
森林は、成り立ちによって大きく2つに分けられます。
- 天然林:自然に落ちた種子や、切り株からの萌芽(ほうが)などによって、人の手を借りずに成立した森林。樹種や樹齢がさまざまで、多様性が高いのが特徴です
- 人工林:人が苗木を植えて育てた森林。同じ樹種・同じ樹齢の木がそろって並ぶため、管理や収穫がしやすい一方、手入れを怠ると荒れやすいという性質があります
日本の人工林で多く植えられてきたのがスギとヒノキです。スギは日本の固有種で成長が速く、まっすぐ育つため建築材に適しています。戦後の復興期に大量に植栽されたことから、現在は多くの人工林が利用できる樹齢に達しています。
「人工林=手を入れ続ける必要がある森林」という点は、後述する間伐の必要性につながる大事な前提です。
育林作業の順序
人工林をつくり、育てていく作業には決まった流れがあります。順序を問う問題は頻出なので、流れとして覚えてしまうのが確実です。
- 地ごしらえ:伐採後に残った枝や下草を片づけ、苗木を植えられる状態に整える
- 植え付け(植栽):苗木を植える
- 下刈り:苗木の生長を妨げる雑草や低木を刈り払う。植栽後の数年間、夏場に毎年行う
- つる切り:苗木に巻きついて生長を妨げるつる植物を取り除く
- 除伐:目的の樹種以外の木や、形の悪い木を取り除く
- 間伐:混みあってきた林の木を一部伐って、密度を調整する
- 主伐:十分に育った木を収穫のために伐採する
流れの意味を一言でまとめると、「植える準備 → 植える → 邪魔なものを除く → 混みすぎを調整する → 収穫する」となります。この筋道が理解できていれば、順序の並べ替え問題にも対応できます。
間伐はなぜ必要か
林業の問題でとくによく問われるのが間伐です。木が育って混みあってくると、次のような問題が起こります。
- 樹冠が重なって林の中が暗くなり、下層の植物が育たなくなる
- 光や養分をめぐる競合で、一本一本の木が細く弱くなる
- 根の張りが浅く貧弱になり、風や雪で倒れやすくなる
- 下草が消えることで表土がむき出しになり、雨で土が流されやすくなる
そこで、一部の木を計画的に伐って密度を下げるのが間伐です。目的は次のとおりです。
- 残した木に光と養分を集中させ、幹を太く健全に育てる
- 林内に光を入れ、下層植生を回復させて土壌の流出を防ぐ
- 風雪害に強い森林をつくる
「木を伐るのに森林を守ることになる」という点が、直感に反して間違えやすいところです。間伐は森林を減らす作業ではなく、残る木を育てるための作業だと理解してください。
なお、間伐で伐り出された木材を間伐材といい、家具や紙、木質バイオマス燃料などに利用されています。
森林の公益的機能
森林は木材を生産するだけでなく、社会全体にさまざまな恩恵をもたらしています。これを公益的機能(多面的機能)といいます。
- 水源かん養:降った雨を土壌が吸収し、時間をかけて少しずつ川へ流すことで、洪水を緩和し、渇水期にも水を供給する。「緑のダム」と呼ばれます
- 土砂災害の防止:樹木の根が土をつかみ、表土の流出やがけ崩れを防ぐ
- 地球温暖化の防止:樹木が光合成によって二酸化炭素を吸収し、炭素として蓄える
- 生物多様性の保全:多様な生き物のすみかとなる
- 保健・レクリエーション:森林浴や自然観察の場を提供する
- 木材等の生産
これらの機能を発揮させ続けるためには、森林を伐りっぱなしにせず、伐ったら植えて育てるというサイクルを保つ必要があります。この考え方を森林の保続といいます。木材を生産しながらも森林を減らさず、次の世代へ引き継いでいくという林業の基本理念です。
森林環境税
森林の整備を社会全体で支える仕組みとして、森林環境税があります。個人住民税に上乗せする形で国が徴収し、その税収を森林環境譲与税として市町村や都道府県へ配分し、間伐や人材育成、木材利用の促進などに充てる制度です。手入れが行き届かない森林の整備を進めることがねらいです。
測定に使う道具
林業では、木の太さや高さを測るための専用の道具が使われます。組み合わせを問う問題が出ることがあるため、名称と用途をセットで押さえておきましょう。
- 輪尺(りんじゃく):木の直径を測る。大きなノギスのような形をしています
- 直径巻尺:幹の周囲に巻きつけて直径を読み取る
- 測竿(そっかん):伸ばして木の高さを測る棒状の器具
- ブルーメライス:離れた位置から樹高を測定する器具
太さを測るもの(輪尺・直径巻尺)と、高さを測るもの(測竿・ブルーメライス)という二分で整理すると覚えやすくなります。
なお、幹の直径は地上から約1.2mの高さで測るのが一般的で、この位置での直径を胸高直径(きょうこうちょっけい)といいます。
演習で確認しよう
環境系の一問一答には、森林の種類・育林作業の順序・間伐の目的・公益的機能・測定器具を扱った問題を収録しています。作業の順序は、実際に並べ替えを解いてみると定着が早くなります。
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