結論:2級の共通問題では、農業の基本方針を定めた食料・農業・農村基本法、農地の権利移動を規制する農地法、意欲のある担い手を支える認定農業者制度、農地の貸し借りを仲介する**農地中間管理機構(農地バンク)**など、農業制度の名前と目的がよく問われます。制度の名前だけでなく、「何のための制度か」をセットで覚えることが大切です。
2級の共通問題は10問と数は少ないものの、全受験者が必ず解く分野です。3級よりも制度や政策に踏み込んだ内容が出題されるため、農業高校などで制度を学ぶ機会が少なかった人は戸惑いやすい分野でもあります。この記事では、頻出の制度用語を「農業全体の方針」「農地」「担い手」「経営の安定」の4つに分けて整理します。
制度の内容は改正されることがあります。最新の内容は、農林水産省の公式情報で確認するようにしてください。
農業全体の方針を定める法律
食料・農業・農村基本法
食料・農業・農村基本法は、日本の農業政策の基本的な方向を定めた法律です。1999年(平成11年)に、それまでの農業基本法に代わって制定されました。次の4つの基本理念を掲げています。
- 食料の安定供給の確保
- 農業の有する多面的機能の発揮
- 農業の持続的な発展
- 農村の振興
2024年(令和6年)には、約25年ぶりに改正され、食料安全保障の確保や環境と調和のとれた食料システムの確立が基本理念に位置づけられました。
この法律にもとづき、政府はおおむね5年ごとに食料・農業・農村基本計画を定めます。基本計画では、食料自給率の目標なども示されます。
多面的機能
農業の多面的機能とは、農業生産活動によって、食料の生産以外にも生まれるさまざまな役割のことです。
- 洪水を防ぐ(水田が雨水を一時的にためる)
- 地下水をかん養する
- 土砂崩れや土の流出を防ぐ
- 生き物のすみかとなり、生物多様性を守る
- 美しい農村の景観をつくる
- 伝統文化を伝える
農地に関する制度
農地法
農地法は、限られた農地を守り、耕作する人が効率よく利用できるようにするための法律です。主に次の2つを規制しています。
- 農地の権利移動:農地を売買したり貸し借りしたりするには、原則として農業委員会の許可が必要です(農地法第3条)
- 農地の転用:農地を住宅地や駐車場など農地以外に変えるには、都道府県知事などの許可が必要です(農地法第4条・第5条)
2009年(平成21年)の改正で、一般の法人も農地を借りて農業に参入しやすくなりました(リース方式の参入の拡大)。
農業委員会
農業委員会は、市町村に置かれる行政委員会で、農地の権利移動の許可や、農地の利用の最適化(担い手への農地の集積・集約化、耕作放棄地の発生防止など)にかかわる仕事をしています。
農地中間管理機構(農地バンク)
農地中間管理機構は、2014年(平成26年)から各都道府県に設置された組織で、「農地バンク」とも呼ばれます。リタイアする農家などから農地を借り受け、まとまった形にして担い手に貸し付けることで、農地の集積・集約化を進めます。
地域計画
地域計画は、地域の農業の将来の姿と、農地を誰が利用していくのかを、地図(目標地図)とともに定める計画です。2023年(令和5年)4月に施行された改正農業経営基盤強化促進法により、市町村が策定するものとして法律に位置づけられました。それ以前に各地域で話し合われていた「人・農地プラン」を発展させたものです。
担い手に関する制度
認定農業者制度
認定農業者は、農業経営基盤強化促進法にもとづき、効率的で安定的な農業経営を目指す農業経営改善計画を作成し、市町村から認定を受けた農業者のことです。認定を受けると、低利の融資や税制上の特例、経営所得安定対策などの支援を受けやすくなります。個人だけでなく法人も認定を受けられます。
認定新規就農者
認定新規就農者は、新たに農業を始める人が青年等就農計画を作成し、市町村から認定を受ける制度です。就農の初期段階の資金や、無利子の融資などの支援の対象になります。認定農業者が「すでに経営している人の経営改善」を支える制度であるのに対し、こちらは「これから始める人」を支える制度です。
家族経営協定
家族経営協定は、家族で農業を営む世帯の中で、経営方針や役割分担、労働時間や休日、報酬などを、家族みんなで話し合って文書で取り決めるものです。家族一人ひとりの働きが正当に評価され、女性や後継者が意欲を持って経営に参画できる環境づくりにつながります。
農業法人
農業法人は、法人の形で農業を営む組織の総称です。会社法にもとづく株式会社などの「会社法人」と、農業協同組合法にもとづく「農事組合法人」があります。農地を所有して農業を営むことができる法人は、一定の要件を満たした農地所有適格法人に限られます。
経営の安定に関する制度
経営所得安定対策
経営所得安定対策は、担い手の経営の安定を図るための支援策です。代表的なものに、外国との生産条件の格差を補う交付金(通称「ゲタ対策」)と、米や麦などの収入が減少したときの影響を緩和する交付金(通称「ナラシ対策」)があります。
収入保険
収入保険は、自然災害による収量の減少だけでなく、価格の低下なども含めて、農業者ごとの収入の減少を補てんする保険で、2019年(平成31年)から始まりました。原則として青色申告を行っている農業者が対象です。
6次産業化
6次産業化は、農林漁業者が、生産(1次)だけでなく、加工(2次)や販売・サービス(3次)にも取り組み、新たな付加価値を生み出す取り組みです。1×2×3=6、あるいは1+2+3=6から名づけられました。
覚え方のコツ
制度の名前は似たものが多いので、「誰のための制度か」「何を目的としているか」で整理すると混同しにくくなります。
| 制度 | 誰のため・何のため |
|---|---|
| 農地法 | 農地を守る(権利移動・転用の規制) |
| 農地中間管理機構 | 農地を担い手に集める(貸し借りの仲介) |
| 地域計画 | 地域の農地の将来像と利用者を決める |
| 認定農業者 | 経営を改善したい担い手を支える |
| 認定新規就農者 | これから農業を始める人を支える |
| 収入保険 | 農業者ごとの収入の減少を補う |
演習で確認しよう
制度用語を整理したら、2級 共通(農業一般)の一問一答で実際の問題に取り組んでみましょう。2級全体の勉強の進め方は農業技術検定2級の勉強法で解説しています。