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共通(農業一般)の一問一答(2級)

全受験者が解く必須分野。農業政策・農業経営、農業簿記、農地制度など、3級よりも制度・実務に踏み込んだ内容を問います。

本試験10問(必須)

当サイトは日本農業技術検定の実施団体とは関係のない個人運営サイトです。試験日程・受験料・出題範囲などの最新情報は、必ず実施団体(全国農業会議所)の公式サイトをご確認ください。

現在 100問 を収録しています。何問解くか選んで始めましょう。

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  • 農地中間管理事業
  • 人・農地プラン
  • 新規就農支援
  • 認定農業者制度
  • 農地所有適格法人
  • 集落営農
  • 農地法(権利移動・転用)
  • 6次産業化
  • 収入保険制度
  • 農業共済制度
  • GAP(農業生産工程管理)
  • 有機JAS制度
  • 牛肉トレーサビリティ
  • 種苗法
  • 家族経営協定
  • 中山間地域等直接支払制度
  • 多面的機能支払制度
  • 環境保全型農業直接支払
  • 収入減少影響緩和対策(ならし対策)
  • スマート農業
  • 農林水産物・食品の輸出促進
  • 農福連携
  • 農業簿記(固定資産の減価償却)
  • 農業簿記(棚卸資産の仕訳)
  • 農地の相続税納税猶予制度
  • 農業の多面的機能
  • 食料・農業・農村基本計画
  • 農業協同組合(JA)
  • 認定新規就農者制度
  • 農業経営改善計画
  • 農業経営基盤強化促進法
  • 農業委員会の組織
  • 農業振興地域制度
  • 生産緑地制度
  • 市民農園
  • 農地の下限面積要件
  • 農業経営基盤強化準備金
  • 制度融資
  • 土地改良事業
  • 農業簿記(損益計算書)
  • 農業簿記(貸借対照表)
  • 青色申告
  • 消費税と農業
  • 労災保険の特別加入制度
  • 農業法人の雇用管理
  • 農業女子プロジェクト
  • 農業データ連携基盤
  • 育成者権と特許権
  • 地理的表示保護制度
  • 畑作物の直接支払交付金
  • 水田活用の直接支払交付金
  • 経営所得安定対策
  • 地域集積協力金
  • 農村RMO
  • 半農半X
  • 鳥獣被害対策
  • 農業経営の法人化
  • 農地の利用権設定
  • 農業経営の継承
  • 農業簿記(固定資産税の仕訳)
  • 農業簿記(家事消費)
  • 農業簿記(未収金・未払金)
  • 複式簿記のメリット
  • 収入保険の基準収入
  • GAP認証の種類
  • 農業経営の多角化
  • 直売所・産直
  • みどりの食料システム法
  • 有機農業の推進
  • 農業者年金制度
  • 農業経営統計の基礎
  • 農業簿記(複式簿記の借方・貸方)
  • 農地台帳
  • 全国農業会議所の役割
  • 特定技能制度と農業
  • 農地耕作条件改善事業
  • 農業保険法
  • 特定農業法人・特定農業団体
  • 農地転用の許可権者
  • 遊休農地対策
  • 農業次世代人材投資事業の変遷
  • 農地の相続と登記
  • 農地の集積率
  • 農地中間管理事業の推進に関する法律
  • 農業経営の複合化
  • 農産物の輸出重点品目
  • スマート農業技術活用促進法
  • 農業水利施設の維持管理
  • 特定農業法人
  • 地産地消
  • 農業用水利権
  • 農地の相続と管理
  • 農業の雇用労働力確保
  • 農業経営のキャッシュフロー
  • 集落営農の法人化
  • 農業簿記(元入金)
  • 農業共済の掛金率
  • 農地転用許可の立地基準
  • 農業経営のBCP(事業継続計画)
  • 農業の多面的機能の評価

共通(農業一般)で学ぶこと

2級の共通問題は、3級の「農作業の意味が理解できる」レベルから一歩進み、農業政策・農業経営・農地制度など、経営者や指導者として知っておくべき制度知識が中心になります。農業簿記の仕訳や補助事業の内容など、暗記だけでなく数字・制度の枠組みを正しく理解しているかが問われます。

試験での重要度

共通問題は10問と選択科目(40問)より配点は小さいものの、全受験者が必ず解く必須分野です。選択科目の得意不得意にかかわらず得点を安定させられる分野なので、ここで取りこぼさないことが合格ラインの70%に届くかどうかを左右します。

初心者がつまずきやすいポイント

  • 法改正や制度の「年」を問う問題が多く、3級までの感覚で用語だけ覚えると選択肢を絞りきれない。
  • 農業簿記の仕訳問題は、勘定科目の名前を知っているだけでは解けず、借方・貸方のどちらに何が入るかまで理解している必要がある。
  • 「人・農地プラン」「農業次世代人材投資事業」など、名称が似た複数の制度を混同しやすい。

学習の順番のおすすめ

  1. 農地制度・農業委員会に関する基本的な仕組みを理解する。
  2. 新規就農支援策(次世代人材投資事業など)の対象・金額・期間を整理する。
  3. 農業簿記の基本的な仕訳パターンに慣れる。
  4. 本サイトの一問一答で間違えた制度名を、公式テキストで前後の文脈ごと読み直す。

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公式資料・参考資料

出題範囲や最新の試験情報は 全国農業会議所の公式サイト、 体系的な学習には公式テキスト・過去問題集をあわせてご利用ください。

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収録問題を読む(全100問)

タップすると正解と解説が読めます。まずはここでざっと目を通して、仕上げに上のクイズで実力チェックしましょう。

各問題には、正解の理由と他の選択肢が誤りとなる理由を掲載しています。問題を解いた後に解説を開いて確認してください。

問1 農地中間管理事業 農地中間管理事業(農地バンク)の役割として、最も適切なものを選びなさい。
  • 農地の売買を仲介し、所有権の移転登記を代行する組織である
  • ✅ 都道府県ごとに設置された農地中間管理機構が、貸したい農地を借り受けて担い手にまとめて貸し付け、農地の集積・集約化を進める仕組みである
  • 耕作放棄地を国が買い上げて公有地化する制度である
  • 市町村が農地を強制的に借り上げ、集落営農組織に無償譲渡する制度である
  • 農業委員会が発行する農地転用許可を一元管理するデータベースである

解説:農地中間管理事業は、分散・錯圃した農地を農地中間管理機構(農地バンク)がいったん借り受け、担い手にまとまった形で貸し付けることで、農地の集積・集約化と生産性向上を進める制度です。所有権の移転(売買)ではなく、あくまで賃貸借を仲立ちする仕組みである点が重要です。「国が買い上げる」「強制的に借り上げる」「転用許可のデータベース」はいずれも制度の実態と異なります。

覚え方:農地バンク=所有権はそのまま、機構が「間に入って」貸し借りをまとめる仲介役。

問2 人・農地プラン 「人・農地プラン(地域農業経営基盤強化構想)」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 国が全国一律に定める農地の利用区分計画である
  • ✅ 市町村や地域の話し合いにより、将来の中心となる経営体(担い手)や農地の受け手を明確化した地域農業の設計図である
  • 農業委員会が単独で作成する、農地転用の可否を判定する基準表である
  • 認定農業者だけが加入できる保険制度の名称である
  • 都道府県が作成する、米の生産数量目標を定める計画である

解説:人・農地プランは、集落や地域での話し合いを通じて「誰が中心的な経営体(担い手)となり、どの農地を誰が引き受けるか」を明確化する地域農業のグランドデザインです。市町村主体で策定され、農地中間管理事業とも連動します。国が一律に定めるものでも、保険制度でも、生産数量目標を定める計画でもありません。

覚え方:人・農地プラン=「地域で話し合って決める、農地の未来予想図」。

問3 新規就農支援 新規就農者育成総合対策(旧・農業次世代人材投資事業)の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 就農前の研修段階を支援する資金のみで、経営開始後の支援はない
  • 就農準備資金・経営開始資金ともに、年間最大の交付額や交付期間は同一の基準で運用されている
  • ✅ 資金の交付を受けるには、独立・自営就農の計画などの要件を満たし、市町村の確認を受ける必要がある
  • 交付を受けた者は、いかなる場合も返還を求められることはない
  • 対象は45歳未満に限られ、年齢の上限を超えると準備型・経営開始資金のいずれも申請できない

解説:新規就農者育成総合対策は、就農前の研修段階を支援する「就農準備資金」と、経営開始後を支援する「経営開始資金」の2本立てで、いずれも独立・自営就農の計画や年齢要件など一定の条件を満たし、市町村の確認を受けて交付されます。交付期間・年齢要件などの細部は準備型と経営開始資金で異なり、要件を満たさなくなった場合は返還を求められることもあります。

覚え方:旧名称は「次世代人材投資事業」。名前が変わっても「就農前=準備」「就農後=経営開始」の2段構えは同じ。

参考:農林水産省「新規就農者育成総合対策」の事業概要に基づく

問4 認定農業者制度 認定農業者制度の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 農業経営改善計画を市町村に提出し、その内容が認定された農業者・農業法人を対象とする制度である
  • 農業高校・農業大学校の卒業者に自動的に付与される資格である
  • 有機JAS認証を取得した農業者だけが対象となる制度である
  • 都道府県知事が定める年間所得の基準を満たした者に一律に付与される称号である
  • 農業委員会の委員に選任されることで自動的に認定される制度である

解説:認定農業者制度は、農業者・農業法人が自ら作成する農業経営改善計画(経営規模拡大や生産方式の合理化などの目標を記した計画)を市町村に提出し、その計画が認定されることで「認定農業者」となる制度です。資格試験や自動付与の仕組みではなく、あくまで計画の認定を受けるプロセスである点が問われます。

覚え方:認定農業者=「自分で経営改善計画を書いて、市町村に認めてもらった人」。

問5 農地所有適格法人 農地所有適格法人(旧・農業生産法人)が農地を取得するための要件として、最も適切なものを選びなさい。
  • 法人形態は株式会社に限られ、合同会社や農事組合法人は認められない
  • 事業内容の要件はなく、どのような業種の法人でも農地を取得できる
  • ✅ 主たる事業が農業(関連事業を含む)であることや、議決権の過半を農業関係者が持つことなど、事業・構成員・役員に関する要件を満たす必要がある
  • 資本金1億円以上であることが必須要件である
  • 本社所在地が農地の所在する都道府県内にあることのみが要件である

解説:農地所有適格法人として農地を取得するには、①主たる事業が農業(生産・加工・販売等の関連事業を含む)であること、②議決権の過半数を農業関係者(農業従事者や農地提供者など)が有すること、③役員の過半が農業に常時従事すること等の要件を満たす必要があります。法人形態は株式会社(譲渡制限あり)・農事組合法人・持分会社などいずれも認められ、資本金額や本社所在地は要件ではありません。

覚え方:農地所有適格法人=「事業も議決権も役員も、主役は農業関係者」の3点セット要件。

問6 集落営農 集落営農の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 一つの集落内の農地すべてを農業委員会が直接管理する仕組みである
  • ✅ 集落や地域を単位に、農業生産を共同で行う営農活動の総称で、機械の共同利用から法人化まで形態は多様である
  • 国が指定した特定の集落だけに認められる、税制優遇のための行政区分である
  • 認定農業者だけで構成することが法律で義務付けられた組織形態である
  • 農地中間管理機構が直接運営する集落単位の農業経営体である

解説:集落営農とは、集落など一定のまとまりのある地域で、農業生産を共同で(機械の共同利用、作業の一部共同化から、経理の一元化、さらには法人化まで)行う取り組み全般を指す総称です。特定の法律上の義務付けられた組織形態ではなく、任意組織のままのものから、集落営農法人まで実態は多様です。

覚え方:集落営農=形は自由、「集落単位でまとまって農業をやる」ことが本質。

問7 農地法(権利移動・転用) 農地法における「3条許可」「4条許可」「5条許可」の組み合わせとして、最も適切なものを選びなさい。
  • 3条=転用のみ、4条=権利移動のみ、5条=権利移動を伴う転用
  • ✅ 3条=農地のまま行う権利移動(売買・賃貸借等)、4条=自己所有農地の転用、5条=権利移動を伴う転用(他人への転用目的の売買等)
  • 3条=自己所有農地の転用、4条=権利移動を伴う転用、5条=農地のまま行う権利移動
  • 3条=相続による権利取得、4条=贈与による権利取得、5条=売買による権利取得
  • 3条から5条まですべて同一内容で、許可権者の違いのみで区分される

解説:農地法3条は農地を農地のまま売買・貸借する際の権利移動の許可、4条は自分の農地を自分で転用(宅地化等)する場合の許可、5条は転用目的で他人に権利を移す(売買・貸借して転用する)場合の許可を定めています。「3条=権利移動」「4条=自己転用」「5条=転用目的の権利移動」という組み合わせを混同しないことがポイントです。

覚え方:3条=そのまま貸し借り、4条=自分で用途変更、5条=人に渡して用途変更(3・4・5と数字が増えるほど関与者が増える)。

問8 6次産業化 農業の「6次産業化」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 農業(1次産業)を6つの部門に細分化して統計を取る仕組みである
  • ✅ 生産者が加工(2次産業)・流通販売(3次産業)まで手がけることで、1×2×3=6として付加価値を高める取り組みである
  • 農業経営を法人化してから6年目に義務付けられる報告制度である
  • 6つの都道府県が共同で行う広域農業振興策である
  • 農産物の輸出において、6か国以上と貿易協定を結ぶことを指す用語である

解説:6次産業化は、農林漁業者(1次産業)が自ら生産物の加工(2次産業)や流通・販売(3次産業)まで一貫して手がけることで、1次×2次×3次=6次として農山漁村の所得や雇用を確保しようとする取り組みです。「1+2+3=6」ではなく「1×2×3=6」という掛け算の発想である点も押さえておきましょう。

覚え方:1次×2次×3次=6次。足し算ではなく掛け算で覚える。

問9 収入保険制度 農業経営収入保険制度の特徴として、最も適切なものを選びなさい。
  • 自然災害による収量減少のみを補償対象とし、価格低下は対象外である
  • ✅ 品目を限定せず、青色申告を行っている農業者の農業収入全体の減少を補償の対象とする
  • 加入できるのは認定農業者に限られる
  • 掛金は全額国庫負担で、農業者の自己負担は生じない
  • 補償の基準となる収入は、加入初年度から自動的に全国一律の金額が適用される

解説:収入保険制度は、自然災害による収量減少だけでなく、価格低下や需要減少なども含めた農業収入全体の減少を、品目を限定せず補償する仕組みです。加入には青色申告の実績(原則として1年分以上)が必要で、認定農業者に限定されません。掛金には国庫補助がありますが全額ではなく、補償基準収入は加入者ごとの過去の実績等をもとに算定されます。

覚え方:収入保険=品目問わず「収入」まるごと見る保険。青色申告が入り口。

問10 農業共済制度 農業共済制度(NOSAI)の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 対象は水稲・麦・大豆などの一部品目に限られ、収入保険と併せて同一品目に両方加入することができる
  • ✅ 自然災害等による収量減少を、品目ごとに定められた共済金額の範囲内で補償する仕組みである
  • 青色申告を行っていない農業者は一切加入できない
  • 加入は任意ではなく、農地を耕作するすべての者に法律で義務付けられている
  • 補償対象は建物・農業用施設に限られ、農作物そのものは対象外である

解説:農業共済制度は、水稲・畑作物・果樹・家畜・園芸施設など品目ごとに、自然災害や病虫害等による損失を共済金額の範囲内で補償する制度です。収入保険とは異なり青色申告の実績は必須ではなく、対象品目であれば加入できます。ただし同一品目について収入保険と農業共済を重複して加入することはできません。加入は任意加入と当然加入(一部の水稲共済など)が制度上区別されています。

覚え方:共済=収量の補償、収入保険=収入まるごとの補償。同じ品目で二重加入はできない。

問11 GAP(農業生産工程管理) GAP(農業生産工程管理)の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 農薬を一切使用しない栽培方法を認証する制度の名称である
  • ✅ 食品安全・環境保全・労働安全などの観点から農業生産の各工程を点検・記録し、持続的に改善していく取り組みである
  • 農産物の遺伝子組換えの有無を表示する制度である
  • 農地の境界を測量し、登記情報を整備する事業の略称である
  • 輸出専用の農産物にのみ適用される品質基準である

解説:GAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)は、食品安全、環境保全、労働安全などの観点から農業生産の一連の工程を点検項目に沿って実施・記録し、それを分析して改善につなげる取り組みです。有機栽培の認証(有機JAS)や遺伝子組換え表示制度とは別の枠組みで、国内向け・輸出向けを問わず活用されます。

覚え方:GAP=Good Agricultural Practice。「やって終わり」ではなく点検→記録→改善のサイクルが本質。

問12 有機JAS制度 「有機JASマーク」の表示に関する説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 生産者が自主的に「有機栽培」と表示すれば、有機JASマークを貼付することができる
  • ✅ 登録認証機関の認証を受けた事業者でなければ、農産物・加工食品に「有機」「オーガニック」等の表示をすることは原則できない
  • 有機JASマークは輸入品には適用されず、国産品のみが対象である
  • 農薬・化学肥料を通常の半分以下に減らせば、有機JASマークを表示できる
  • 有機JASの認証は一度取得すれば、以後の更新や検査は不要である

解説:JAS法に基づき、農産物や加工食品に「有機」「オーガニック」等の表示をするには、登録認証機関の認証を受けて有機JASマークを貼付することが必要です。認証を受けずに「有機」等と表示することは原則としてできません(不当表示として規制対象)。輸入品も同等の認証を受ければ対象になり、認証後も定期的な検査・更新が必要です。「農薬・化学肥料を半分以下」は減農薬栽培などの考え方であり、有機JASの基準(化学合成農薬・化学肥料を原則不使用等)とは異なります。

覚え方:「有機」と名乗るには、自己申告ではなく第三者認証がいる。

問13 牛肉トレーサビリティ 牛肉トレーサビリティ法(牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法)の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 牛1頭ごとに10桁の個体識別番号を付け、出生から流通・消費まで個体情報を追跡できるようにする制度である
  • 豚・鶏を含むすべての家畜を対象とした制度である
  • 個体識別番号の表示は小売店での販売時のみ義務付けられ、生産段階では不要である
  • 国産牛肉と輸入牛肉のいずれにも同じ個体識別番号の仕組みが適用される
  • BSE(牛海綿状脳症)の発生前から運用されていた制度である

解説:牛肉トレーサビリティ法は、BSE(牛海綿状脳症)の発生を契機に導入された制度で、牛1頭ごとに10桁の個体識別番号を付け、出生(輸入)から飼養、と畜、流通、小売に至るまで個体の情報を追跡・確認できるようにするものです。対象は牛に限られ、生産段階から表示・報告の義務があります。

覚え方:牛肉トレーサビリティ=BSE対策として始まった「牛だけの10桁番号」制度。

参考:牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法の制度概要に基づく

問14 種苗法 種苗法における「育成者権」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 誰でも自由に新品種を増殖・販売できる権利のことである
  • ✅ 新品種を育成した者に対して品種登録により与えられる、その品種の種苗等を業として利用する権利である
  • 在来種を保存する農家に対して国が与える表彰制度の名称である
  • 登録品種であっても、農業者が収穫物から得た種苗を自家増殖することは常に自由である
  • 特許庁ではなく地方自治体が審査・登録を行う制度である

解説:育成者権は、新品種を育成した者が品種登録を受けることで得られる、その品種の種苗や収穫物を業として利用する権利です。登録品種については、育成者の許諾なく種苗を増殖して譲渡・販売することは原則できず、農業者の自家増殖についても登録品種は許諾が必要な場合があります(一般品種は対象外)。品種登録の審査・登録は農林水産省が所管します。

覚え方:育成者権=新品種を作った人の「その品種を業として使う」権利。

問15 家族経営協定 家族経営協定の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 家族農業経営に携わる各世帯員が、それぞれの役割分担・地位・待遇などを話し合いで文書化する取り決めである
  • 農業委員会が家族農業経営に対して一方的に発行する認定書である
  • 家族経営で農業を営むことを禁止し、法人化を義務付ける規定である
  • 相続時の遺産分割方法を国が定めた標準様式に従って決定させる制度である
  • 家族経営における最低賃金を国が直接定める制度である

解説:家族経営協定は、農業経営に携わる家族員(経営主・配偶者・後継者等)が、労働時間や休日、報酬、経営方針への参画などについて話し合い、対等な立場で取り決めを文書化するものです。女性や後継者の経営参画を進める狙いがあり、法的な義務付けや国による一律の様式強制ではなく、あくまで当事者間の自主的な取り決めです。

覚え方:家族経営協定=家族で「役割と待遇」を話し合って紙に残す約束事。

問16 中山間地域等直接支払制度 中山間地域等直接支払制度の目的として、最も適切なものを選びなさい。
  • 都市近郊の平地農業地域の生産性を向上させることを目的とする
  • ✅ 傾斜地など条件不利な中山間地域等で、農業生産活動を継続することにより耕作放棄の発生を防ぎ、多面的機能を維持することを目的とする
  • 中山間地域の農地をすべて森林に転換することを目的とする
  • 中山間地域の農産物にのみ高い関税を課すことを目的とする
  • 認定農業者以外の農業者を中山間地域から排除することを目的とする

解説:中山間地域等直接支払制度は、傾斜地が多く生産条件が不利な中山間地域等において、集落協定等に基づき農業生産活動を継続する取り組みに対して直接支払いを行うことで、耕作放棄の発生を防止し、国土保全・水源涵養などの多面的機能を維持することを目的としています。平地農業地域や関税措置、認定農業者の排除とは関係がありません。

覚え方:中山間=条件が不利な地域を「やめさせない」ための直接支払い。

問17 多面的機能支払制度 多面的機能支払制度の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 農業・農村が有する国土保全、水源涵養、良好な景観形成等の多面的機能の維持・発揮を図る地域の共同活動を支援する制度である
  • 農産物の価格を市場価格より高く固定する制度である
  • 個々の農業者の所得を直接補償し、経営規模とは無関係に一律の金額を支払う制度である
  • 海外への農産物輸出額に応じて交付金を支払う制度である
  • 農業機械の購入費用の全額を補助する制度である

解説:多面的機能支払制度は、農地・水路・農道等の資源を対象に、地域住民が共同で行う保全活動(水路の泥上げ、農道の草刈り等)や、農業・農村が持つ国土保全・水源涵養・景観形成などの多面的機能の維持・発揮を図る取り組みを支援する制度です。価格支持や個別所得補償、輸出交付金、機械購入補助とは異なる枠組みです。

覚え方:多面的機能支払=「地域みんなで農地・水路を守る活動」への支援。

問18 環境保全型農業直接支払 環境保全型農業直接支払制度の対象となる取り組みとして、最も適切なものを選びなさい。
  • 農薬・化学肥料の使用量を増やして収量を最大化する取り組み
  • ✅ 有機農業やカバークロップの作付けなど、化学肥料・化学合成農薬の低減とあわせて地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活動
  • 農地を宅地に転用して収益性を高める取り組み
  • 海外からの輸入農産物の関税を引き下げる取り組み
  • 農業機械を大型化し、作業の省力化のみを図る取り組み

解説:環境保全型農業直接支払制度は、化学肥料・化学合成農薬の使用を原則5割以上低減する取り組みとあわせて、有機農業、カバークロップ(緑肥)の作付け、堆肥の施用など、地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活動に対して支援を行う制度です。農薬・肥料の使用量を増やす取り組みや、転用・関税・機械化とは無関係です。

覚え方:環境保全型=「減農薬・減化学肥料」+「環境に効く取り組み」の合わせ技が条件。

問19 収入減少影響緩和対策(ならし対策) 米・畑作物の収入減少影響緩和対策(ならし対策)の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 対象品目の当年産収入額が標準的収入額を下回った場合に、その差額の一部を補塡する仕組みである
  • 収穫量が増えた分だけ追加で補助金が支払われる仕組みである
  • 加入者の年齢が45歳未満であることが唯一の加入要件である
  • 対象品目は野菜・果樹全般であり、米や畑作物は対象外である
  • 積立金は国が全額を負担し、生産者の拠出は不要である

解説:ならし対策(米・畑作物の収入減少影響緩和対策)は、米・麦・大豆等の対象品目について、当年産の収入額が過去の実績等をもとにした標準的収入額を下回った場合に、その差額の一部(原則9割)を生産者と国の拠出による積立金から補塡する仕組みです。対象は米・畑作物であり、野菜・果樹全般ではありません。積立金は生産者と国が一定割合で拠出し、全額国庫負担ではありません。

覚え方:「ならし」=収入の凸凹を積立金で「ならす」仕組み。

問20 スマート農業 スマート農業の取り組みとして、最も適切なものを選びなさい。
  • 手作業のみで行う伝統的な農法への回帰を指す
  • ✅ ロボット技術やICT・AIを活用して、省力化・精密化・高品質生産を実現する新しい農業のあり方を指す
  • 農産物直売所の店舗運営を効率化するだけの取り組みを指す
  • 農地を細かく分割し、経営規模を縮小する取り組みを指す
  • 農薬・化学肥料の使用を全面的に禁止する取り組みを指す

解説:スマート農業とは、ロボット技術、ICT(情報通信技術)、AI(人工知能)などの先端技術を活用し、作業の省力化・自動化、生育状況等のデータに基づく精密な栽培管理、品質・収量の向上などを実現する新しい農業のあり方を指します。自動操舵トラクターやドローンによる農薬散布、センサーによる生育モニタリングなどが代表例です。

覚え方:スマート農業=ロボット・ICT・AIで「手間を減らして精度を上げる」農業。

問21 農林水産物・食品の輸出促進 農林水産物・食品の輸出促進のために国が整備している仕組みとして、最も適切なものを選びなさい。
  • 輸出先国の残留農薬基準等を無視して出荷できるようにする特例措置
  • ✅ 輸出に取り組む事業者をコンソーシアムとして組織化し、海外市場開拓や物流・規制対応の支援を行う仕組み(GFP等)
  • 国内向け出荷を全面的に禁止し、生産量をすべて輸出に振り向けさせる制度
  • 輸出した農産物にのみ消費税の税率を引き上げる制度
  • 輸出実績のある農業者に対して、翌年の農地取得を制限する制度

解説:農林水産物・食品の輸出促進では、GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)のように、生産者・輸出事業者・支援機関等をコンソーシアムとして組織化し、海外市場の開拓、輸出先国の検疫・規制への対応、物流の効率化などを一体的に支援する仕組みが整備されています。輸出先国の基準を無視する特例や国内出荷の禁止、輸出品への増税といった措置ではありません。

覚え方:輸出促進=ばらばらの事業者を束ねて(コンソーシアム化)海外の壁を一緒に越える仕組み。

問22 農福連携 農福連携の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 農業と福祉が連携し、障害者等の農業分野での就労や活躍を推進する取り組みである
  • 農業者のみを対象とした健康診断制度の名称である
  • 福祉施設が農地を強制的に取得できる特例制度である
  • 農産物の価格を福祉目的で一律に引き下げる制度である
  • 農業法人の役員に必ず社会福祉士を置くことを義務付ける制度である

解説:農福連携は、障害者等が農業分野で活躍することを通じて、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取り組みです。同時に、農業経営体にとっては労働力の確保という側面もあります。健康診断制度や農地取得の特例、価格引き下げ、役員配置の義務化とは異なります。

覚え方:農福連携=農業(agriculture)と福祉(welfare)の「連携」がそのまま名前になっている。

問23 農業簿記(固定資産の減価償却) 農業簿記において、耐用年数7年・取得価額700,000円の農業用トラクターを定額法(残存価額0円)で減価償却する場合、1年間の減価償却費として、最も適切なものを選びなさい。
  • 70,000円
  • ✅ 100,000円
  • 140,000円
  • 175,000円
  • 700,000円

解説:定額法(残存価額0円)の年間減価償却費は「取得価額 ÷ 耐用年数」で計算します。700,000円 ÷ 7年 = 100,000円です。毎年同じ金額を計上していく点が定額法の特徴で、耐用年数が過ぎると帳簿価額は0円(備忘価額1円を残す場合あり)になります。

覚え方:定額法=取得価額を耐用年数で割るだけのシンプルな割り算。

問24 農業簿記(棚卸資産の仕訳) 農業簿記において、当期に生産した米のうち、期末時点で50万円相当が未販売のまま在庫として残っている場合の仕訳として、最も適切なものを選びなさい。
  • 借方:現金 500,000 貸方:米収益 500,000
  • ✅ 借方:繰越農産物 500,000 貸方:米収益 500,000
  • 借方:米収益 500,000 貸方:繰越農産物 500,000
  • 借方:仕入 500,000 貸方:買掛金 500,000
  • 借方:未収金 500,000 貸方:売上 500,000

解説:期末に売れ残った農産物(棚卸資産)は、当期の収益として一度計上したうえで、資産科目「繰越農産物」に振り替えて次期に繰り越します。仕訳は借方に資産の増加を示す「繰越農産物」、貸方に収益の計上を示す「米収益」を記入します。翌期に販売した際には、逆の仕訳(借方:米収益/貸方:繰越農産物)で戻し入れを行います。

覚え方:在庫=資産が増える(借方)、収益も計上される(貸方)。翌期は逆仕訳で戻す。

問25 農地の相続税納税猶予制度 農地等に係る相続税の納税猶予制度の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 相続した農地を宅地に転用しても、猶予は継続して適用される
  • ✅ 相続人が農業経営を継続することを条件に、農地の評価額のうち農業投資価格を超える部分に対応する相続税額の納税が猶予される仕組みである
  • 農地を相続した場合、相続税そのものが全額免除される制度である
  • 適用を受けるのに市町村長の証明は一切不要である
  • 適用対象は水田のみで、畑地・採草放牧地は対象外である

解説:農地等に係る相続税の納税猶予制度は、相続人が農業を継続することを条件に、農地の通常評価額と農業投資価格(農業投資目的にしか使わないとした場合の価格)との差額に対応する相続税額の納税を猶予する制度です。免除ではなく「猶予」であり、一定期間の営農継続などの要件を満たせなくなると猶予が打ち切られ、利子税とあわせて納税が必要になります。対象は水田に限らず畑地・採草放牧地等も含まれます。

覚え方:猶予であって免除ではない。「農業を続けている限り待ってもらえる」仕組み。

問26 農業の多面的機能 農業・農村の「多面的機能」に含まれるものとして、最も適切なものを選びなさい。
  • 農産物の販売による直接的な現金収入のみ
  • ✅ 水田による洪水防止や地下水涵養、良好な景観の形成、伝統文化の継承といった、食料生産以外の多様な機能
  • 農業機械メーカーの株価上昇効果
  • 農地転用によって生まれる宅地開発の利益
  • 輸出による外貨獲得効果のみ

解説:農業・農村の多面的機能とは、食料等の供給という本来の機能に加えて、水田が持つ洪水防止・水源涵養機能、良好な景観の形成、生物多様性の保全、地域文化の継承など、農業生産活動を通じて生み出される食料生産以外の多様な機能を指します。これらは市場で直接取引されにくい価値であることから、多面的機能支払制度などの政策的支援の根拠にもなっています。

覚え方:多面的機能=「食べ物を作る」以外の、水・景観・文化を守るおまけの働き。

問27 食料・農業・農村基本計画 食料・農業・農村基本法に基づく「食料・農業・農村基本計画」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 都道府県が独自に策定し、国の関与を受けない計画である
  • ✅ 食料自給率の目標や、農業の持続的発展・農村の振興に関する施策の方向性を定める、国の基本的な計画である
  • 個々の農業者の作付け品目を直接指定する計画である
  • 一度策定されると、その後見直されることはない
  • 対象は食料の供給に限られ、農業や農村の振興は含まれない

解説:食料・農業・農村基本計画は、食料・農業・農村基本法に基づき国が策定する計画で、食料自給率の目標をはじめ、食料の安定供給の確保、農業の持続的な発展、農村の振興に関する施策の基本的な方向性を示すものです。おおむね5年ごとに見直され、個々の農業者の作付け品目を直接指定するものではありません。

覚え方:基本計画=「自給率目標+農業+農村」の3本柱を国が定期的に見直す設計図。

問28 農業協同組合(JA) 農業協同組合(JA)の事業として、最も適切な組み合わせを選びなさい。
  • 信用事業(貯金・貸付)と共済事業のみで、農産物の販売・購買事業は行わない
  • ✅ 営農指導や農産物の共同販売・生産資材の共同購入、信用事業、共済事業など、幅広い事業を総合的に行う
  • 行政機関の一部として、農業委員会の業務をすべて代行する
  • 組合員以外の一般消費者は、いかなるサービスも利用できない
  • 株式会社形態のみで運営され、出資者は必ず農業者に限られる

解説:JA(農業協同組合)は、組合員である農業者の営農・生活を総合的に支えるため、営農指導事業、農産物の共同販売(共販)や生産資材の共同購入(共購)といった経済事業に加え、信用事業(貯金・貸付)、共済事業(保険)など幅広い事業を一体的に行う協同組合です。行政機関ではなく、法人形態も株式会社ではなく協同組合(農業協同組合法に基づく)です。

覚え方:JA=営農・経済(販売購買)・信用・共済の「よろず支援」組織。

問29 認定新規就農者制度 認定新規就農者制度の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 新たに農業経営を開始しようとする青年等が作成する青年等就農計画を市町村が認定する制度である
  • 農業高校在学中の生徒全員に自動的に付与される資格である
  • 認定を受けるには10年以上の営農実績が必要である
  • 認定新規就農者になると、農地の取得が一切不要になる
  • 都道府県ではなく国が個別に審査・認定する制度である

解説:認定新規就農者制度は、新たに農業経営を営もうとする青年等が、今後の経営の目標や取り組み内容をまとめた「青年等就農計画」を作成し、市町村がその計画を認定する制度です。認定を受けることで、新規就農者育成総合対策の経営開始資金など各種支援策の対象となりやすくなります。長期の営農実績は要件ではなく、農地取得が不要になるわけでもありません。

覚え方:認定新規就農者=「これから就農する人」向けの、市町村認定の計画バージョン。

問30 農業経営改善計画 農業経営改善計画に記載する内容として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 経営規模の拡大、生産方式の合理化、経営管理の合理化、農業従事の態様の改善など、経営改善に向けた目標と取り組み内容
  • 農業者本人の家族構成のみ
  • 市町村が定める農地の固定資産税評価額のみ
  • 農業機械の型式番号の一覧のみ
  • 地域の気象データの過去10年分の統計のみ

解説:農業経営改善計画は、農業者が経営規模の拡大、生産方式の合理化(技術導入等)、経営管理の合理化(複式簿記記帳等)、農業従事の態様の改善(労働時間の適正化等)といった観点から、今後の経営改善の目標と具体的な取り組みをまとめた計画です。この計画が市町村に認定されることで認定農業者となります。家族構成や固定資産税評価額、機械の型式、気象統計そのものが計画の中心内容ではありません。

覚え方:経営改善計画の4本柱=規模拡大・生産方式・経営管理・農業従事態様の「改善」。

問31 農業経営基盤強化促進法 農業経営基盤強化促進法の目的として、最も適切なものを選びなさい。
  • 米の生産数量目標を都道府県ごとに割り当てることを目的とする
  • ✅ 効率的・安定的な農業経営を育成し、これらが地域の農業生産の相当部分を担う農業構造を確立することを目的とする
  • すべての農地を国有化することを目的とする
  • 農薬の使用基準を定めることを目的とする
  • 食品表示の統一を図ることを目的とする

解説:農業経営基盤強化促進法は、経営改善に意欲的な農業者(認定農業者等)を育成し、農地の集積・集約化や経営基盤の強化を通じて、効率的・安定的な農業経営が地域の農業生産の相当部分を担う農業構造を確立することを目的とする法律です。認定農業者制度や農用地利用集積計画(利用権設定等)の根拠法としても位置づけられています。

覚え方:農業経営基盤強化促進法=認定農業者制度の「土台」となる法律。

問32 農業委員会の組織 農業委員会等に関する法律の改正(平成28年施行)による農業委員の選任方法の変化として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 公選制(選挙)から、市町村議会の同意を要件とする市町村長の任命制に変更された
  • 市町村長の任命制から、公選制(選挙)に変更された
  • 選任方法に変更はなく、従来どおり公選制のままである
  • 都道府県知事が全国一律で任命する方式に変更された
  • 国が直接任命する方式に変更された

解説:平成28(2016)年に施行された改正農業委員会等に関する法律により、農業委員の選任方法は、それまでの公選制(選挙)から、市町村議会の同意を要件とする市町村長の任命制に変更されました。あわせて、農地利用の最適化(担い手への集積・遊休農地解消等)を専門に担う「農地利用最適化推進委員」が新設され、農業委員が兼務する場合もある点も押さえておきましょう。

覚え方:農業委員=「選挙」から「市町村長が議会の同意を得て任命」する方式に変わった。

問33 農業振興地域制度 農業振興地域の整備に関する法律に基づく「農用地区域」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 都道府県が特に観光振興を図るために指定する区域である
  • ✅ 今後相当期間にわたり農業上の利用を確保すべき土地として市町村が指定し、原則として農地転用が厳しく制限される区域である
  • 宅地化を積極的に推進するために指定される区域である
  • 農用地区域に指定されると、いかなる農業も行えなくなる区域である
  • 農用地区域の指定は都道府県ではなく国が個別に行う

解説:農用地区域は、農業振興地域の整備に関する法律に基づき、市町村が策定する農業振興地域整備計画の中で、今後相当期間にわたり農業上の利用を確保すべき土地として指定する区域です。いわゆる「青地」とも呼ばれ、農地転用は原則として認められないなど、優良農地を将来にわたって守るための土地利用規制の根幹をなす制度です。

覚え方:農用地区域(青地)=「農業を続けるために転用させない」ための指定区域。

問34 生産緑地制度 都市部の農地に関する「生産緑地制度」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 都市計画区域外の農地のみを対象とした制度である
  • ✅ 市街化区域内の農地について、営農の継続を条件に固定資産税の軽減等の税制上の優遇を受けられる都市計画上の制度である
  • 生産緑地に指定されると、農地としての利用を一切禁止される
  • 生産緑地制度は農産物の価格を保証する制度である
  • 生産緑地の指定には市町村の関与は一切ない

解説:生産緑地制度は、宅地化が進みやすい市街化区域内の農地について、都市計画に生産緑地地区として指定することで、営農の継続を条件に固定資産税の軽減などの税制優遇を受けられる制度です。都市部における農地の保全と、良好な都市環境の形成(防災空間・緑地としての機能等)をあわせて図ることを目的としています。

覚え方:生産緑地=「市街化区域の中で農業を続ける」ことを条件に税制優遇を受ける制度。

問35 市民農園 特定農地貸付法等に基づく「市民農園」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 農業者が自らの経営規模を拡大するために農地を借り受ける仕組みである
  • ✅ 都市住民等がレクリエーションなどを目的に小規模な農地を借りて自ら野菜作り等を行えるようにする仕組みである
  • 市民農園はすべて国が直接運営しなければならない施設である
  • 市民農園の開設には農地法の特例は一切適用されない
  • 市民農園は必ず都道府県が開設者にならなければならない

解説:市民農園は、都市住民等がレクリエーションや生きがいづくり等を目的として、小規模な区画に分けられた農地を借り受け、自ら野菜や花などを栽培できるようにする仕組みです。特定農地貸付法や市民農園整備促進法などの制度により、農地法上の権利移動規制の特例を受けながら、市町村・農業協同組合・農業者などが開設者となって運営されています。

覚え方:市民農園=「都市住民が農業を体験する」ための小区画の農地貸付け制度。

問36 農地の下限面積要件 農地法における農地の権利取得に関する「下限面積要件」についての近年の制度変更として、最も適切なものを選びなさい。
  • 下限面積要件は近年強化され、より広い面積を所有していないと農地を取得できなくなった
  • ✅ 農地取得の際に一定面積(従来は原則50a等)以上の経営面積を求める下限面積要件は、法改正により廃止された
  • 下限面積要件は制度創設以来一度も変更されたことがない
  • 下限面積要件は市街化区域の農地にのみ適用される制度である
  • 下限面積要件の廃止によって、農地の売買がすべて禁止された

解説:従来、農地法に基づく権利取得(農地の売買・貸借)には、取得後の経営面積が一定規模(原則50a等、地域により異なる)以上であることを求める下限面積要件が設けられていましたが、小規模農業への参入を後押しする観点等から法改正により廃止されました。これにより、小規模な面積からでも農業に新規参入しやすくなっています。

覚え方:下限面積要件=「小さい面積では参入できない」というハードルが撤廃された。

問37 農業経営基盤強化準備金 認定農業者等が活用できる税制優遇措置「農業経営基盤強化準備金」制度の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 経営所得安定対策の交付金等を積み立てて損金(必要経費)に算入し、将来の農業用機械・施設等の取得に充てることで税負担を平準化できる制度である
  • 農地の売買益に対する課税を永久に免除する制度である
  • 農業者年金の保険料を積み立てるための制度である
  • 消費税の納税を猶予する制度である
  • 労働保険料を積み立てるための制度である

解説:農業経営基盤強化準備金制度は、認定農業者等が経営所得安定対策の交付金等の一定の収入を準備金として積み立てた場合に、その積立額を損金(必要経費)に算入できる税制優遇措置です。積み立てた準備金は、その後農業用の機械・施設等を取得した際に取り崩して圧縮記帳することができ、収入が多い年と設備投資を行う年の税負担を平準化する効果があります。

覚え方:経営基盤強化準備金=「収入が多い年に積み立てて、投資する年に使う」税制の平準化ツール。

問38 制度融資 認定農業者を対象とした長期・大型の制度融資(いわゆるスーパーL資金等)の一般的な特徴として、最も適切なものを選びなさい。
  • 融資対象は認定農業者に限らず、農業に関心のあるすべての個人が無条件で利用できる
  • ✅ 農業経営改善計画の実現に必要な資金について、長期・低利での融資を受けられるよう金利負担の軽減措置等が講じられている
  • 融資を受けると、返済義務が一切生じない給付金と同じ扱いになる
  • スーパーL資金は運転資金専用で、施設・機械の取得には利用できない
  • スーパーL資金の融資審査には、経営改善計画の有無は一切関係しない

解説:認定農業者向けの制度融資(農業経営基盤強化資金、通称スーパーL資金等)は、認定を受けた農業経営改善計画の達成に必要な機械・施設の取得や運転資金などについて、長期の償還期間や金利負担の軽減措置(利子助成等)を受けながら融資を受けられる仕組みです。融資である以上、返済義務のある資金である点が給付金とは異なります。

覚え方:スーパーL資金=認定農業者の「経営改善計画」を後押しする長期・低利の制度融資。

問39 土地改良事業 土地改良法に基づく「土地改良区」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 国が直接管理する行政機関の一部門である
  • ✅ 農業水利施設(用排水路等)の整備・管理や区画整理などの土地改良事業を行うために、関係農業者等によって組織される法人である
  • 土地改良区は、農産物の販売のみを行う組織である
  • 土地改良区への加入は、いかなる農業者にも一切義務付けられていない
  • 土地改良区は都道府県の一機関であり、独立した法人格を持たない

解説:土地改良区は、土地改良法に基づき、用排水路の整備・維持管理や農地の区画整理・暗渠排水といった土地改良事業を計画的に実施するために、関係する農業者等の同意を得て設立される法人です。地域の農業生産基盤(インフラ)を支える組織として、施設の維持管理費用の賦課徴収なども行います。

覚え方:土地改良区=農業用水路・農地の「インフラ整備」を担う農業者の組織。

問40 農業簿記(損益計算書) 農業簿記における損益計算書に関する説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 一定時点における資産・負債・純資産の残高を示す表である
  • ✅ 一定期間における収益と費用を対比し、その差額として利益(または損失)を示す表である
  • 損益計算書には収益の科目のみが記載され、費用は一切記載されない
  • 損益計算書は税務署に提出する義務が一切ない書類である
  • 損益計算書は現金の残高のみを示す表である

解説:損益計算書(P/L)は、一定期間(通常は1年間)における収益(売上・農産物収入等)と費用(種苗費・肥料費・減価償却費等)を対比し、その差額として当期の利益または損失を示す財務諸表です。一定時点の財政状態(資産・負債・純資産)を示すのは貸借対照表(B/S)であり、両者は役割が異なります。

覚え方:損益計算書=「一定期間」の成績表。貸借対照表は「ある時点」の健康診断書。

問41 農業簿記(貸借対照表) 農業簿記における貸借対照表の構成要素として、最も適切なものを選びなさい。
  • 収益と費用のみで構成される
  • ✅ 資産、負債、純資産(資本)の3つの区分で構成され、資産の合計は負債と純資産の合計に一致する
  • 資産のみで構成され、負債は記載されない
  • 貸借対照表には金額を一切記載せず、科目名のみを記載する
  • 貸借対照表は毎月作成することが法律で禁止されている

解説:貸借対照表(B/S)は、ある時点における「資産」(現金・農業用固定資産・繰越農産物等)、「負債」(借入金・未払金等)、「純資産(資本)」の3つの区分から構成され、会計の基本原則として資産の合計額は負債と純資産の合計額に必ず一致します(貸借一致の原則)。経営の財政状態を把握するための基本的な財務諸表です。

覚え方:貸借対照表=「資産=負債+純資産」が常に釣り合う仕組みの表。

問42 青色申告 農業者が青色申告を行うことのメリットとして、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 青色申告特別控除など税制上の優遇措置を受けられる一方、複式簿記による記帳など一定の要件を満たす必要がある
  • 青色申告を行うと、記帳作業が一切不要になる
  • 青色申告は白色申告よりも税制上の優遇が一切ない
  • 青色申告は農業者には認められておらず、法人のみが利用できる制度である
  • 青色申告を行うと、収入保険への加入資格を失う

解説:青色申告は、複式簿記による記帳などの一定の要件を満たして税務署に申請することで、青色申告特別控除(最大65万円等)や赤字の繰越控除といった税制上の優遇措置を受けられる申告方法です。個人の農業者・法人ともに利用可能で、記帳の手間は白色申告より増えますが、それに見合う税制上のメリットがあります。なお、収入保険への加入には青色申告の実績が要件となるため、両者はむしろ関連が深い制度です。

覚え方:青色申告=「きちんと記帳する代わりに税制優遇を受けられる」制度。収入保険加入の前提にもなる。

問43 消費税と農業 農業経営における消費税の「簡易課税制度」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 課税売上高が一定基準以下の事業者が選択でき、業種ごとに定められたみなし仕入率を用いて簡便に納税額を計算できる制度である
  • 簡易課税制度を選択すると、消費税の納税義務そのものが完全に免除される
  • 簡易課税制度は農業には一切適用されない制度である
  • 簡易課税制度を選択すると、実際の仕入額にかかわらず必ず税額がゼロになる
  • 簡易課税制度の適用には、事前の届出は一切不要である

解説:消費税の簡易課税制度は、基準期間の課税売上高が一定額(5,000万円)以下の事業者が、事前の届出により選択できる制度で、実際の仕入れにかかった消費税額を個別に計算する代わりに、業種ごとに定められた「みなし仕入率」を用いて簡便に納税額を計算することができます。農業(食用の農産物の生産等)にも適用可能な仕組みで、免税事業者とは異なり納税義務自体がなくなるわけではありません。

覚え方:簡易課税=「実額計算の手間を省く」ための、みなし仕入率を使う簡便な計算方法。

問44 労災保険の特別加入制度 農業者本人(事業主)が労災保険に加入できる「特別加入制度」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 労災保険は雇用されている労働者のみが対象であり、農業経営者自身は制度上一切加入できない
  • ✅ 一定の要件を満たす農業者(中小事業主等)が、労働者と同様に業務上の災害等に備えて任意で加入できる制度である
  • 特別加入制度に加入すると、保険料は一切発生しない
  • 特別加入制度は、稲作以外の農業には一切適用されない
  • 特別加入制度は、法人化した農業経営体には利用できない制度である

解説:労災保険は本来、雇用される労働者を対象とする制度ですが、農業を含む中小事業主やひとり親方など、一定の要件を満たす場合には「特別加入制度」により、事業主自身も労働者に準じた形で業務上の災害等の補償を受けられるよう任意で加入することができます。農業機械作業など事故リスクの高い作業に従事する農業者にとって重要な備えの一つとされています。

覚え方:労災の特別加入=雇う側(事業主)も「労働者と同じように」備えられる仕組み。

問45 農業法人の雇用管理 農業法人が常時10人以上の従業員を雇用する場合に義務付けられる労務管理上の対応として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出る必要がある
  • 従業員の労働条件を一切明示しなくてよい
  • 農業には労働基準法が一切適用されないため、特別な対応は不要である
  • 従業員の人数にかかわらず、就業規則の作成義務は生じない
  • 就業規則は作成しても届出の必要はない

解説:労働基準法上、常時10人以上の労働者を使用する事業場は、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。農業においても、規模の大きな農業法人など該当する事業場はこの義務の対象となります。なお、労働時間規制の一部(法定労働時間・休憩・休日)については農業・畜産・水産業に適用除外の特例がある点も、農業特有の労務管理上の留意点として押さえておく必要があります。

覚え方:常時10人以上の雇用=「就業規則の作成・届出」が必要になるライン。

問46 農業女子プロジェクト 「農業女子プロジェクト」の取り組みとして、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 女性農業者の活躍を推進し、企業等と連携して知恵や技術を活用した新たな商品・サービスの開発などを進める取り組みである
  • 女性のみが農業に従事することを義務付ける制度である
  • 農業女子プロジェクトは、農産物の輸出のみを目的とした事業である
  • 農業女子プロジェクトへの参加には、農地の所有が必須条件となる
  • 農業女子プロジェクトは都道府県ごとに独立した別々の制度であり、全国的な枠組みは存在しない

解説:農業女子プロジェクトは、農林水産省が中心となって進める取り組みで、女性農業者の知恵や技術を、多様な企業の商品・技術と結びつけることで新たな商品やサービス、情報を創造し、女性農業者の存在感を高めるとともに、農業を志す女性の増加を後押しすることを目的としています。義務や強制を伴う制度ではなく、参画を希望する女性農業者が任意で加わる取り組みです。

覚え方:農業女子プロジェクト=女性農業者と「企業をつなぐ」ことで新しい価値を生む取り組み。

問47 農業データ連携基盤 農業分野のデータ連携基盤「WAGRI」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 特定の1社のみが独占的に利用できる自社専用のデータベースである
  • ✅ 気象データや地図データ、生育予測モデルなど、農業関連の多様なデータやAPIを様々なサービス事業者が共通に活用できるようにする基盤である
  • WAGRIは農薬の登録情報のみを扱うデータベースである
  • WAGRIは個々の農業者の収支情報を国が一元的に管理する制度である
  • WAGRIは家畜の個体識別番号のみを管理するシステムである

解説:WAGRI(農業データ連携基盤)は、気象データ、地図(ほ場図)データ、生育予測モデルなど、農業に関わる多様なデータやAPIを集約し、農機メーカーやITベンダーなど様々なサービス事業者が共通の基盤として活用できるようにすることで、スマート農業サービスの開発・普及を後押しする仕組みです。特定企業の専用データベースではなく、多くの事業者が参画できるオープンな基盤である点が特徴です。

覚え方:WAGRI=農業データの「共通の水道管」。みんなが使えるように整備された基盤。

問48 育成者権と特許権 植物の新品種を保護する「育成者権」(種苗法)と「特許権」(特許法)の違いに関する説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 育成者権と特許権は完全に同一の制度であり、区別する必要はない
  • ✅ 育成者権は品種登録によって新品種そのものを保護する仕組みであるのに対し、特許権は発明(技術的なアイデア)を保護する仕組みである
  • 育成者権は技術的な発明のみを保護し、植物の品種は一切保護しない
  • 特許権は植物の品種登録を管轄する農林水産省が所管する権利である
  • 育成者権は永久に存続し、保護期間の満了という概念がない

解説:育成者権は種苗法に基づき、農林水産省への品種登録を通じて新品種そのもの(植物体の特性)を保護する権利であるのに対し、特許権は特許法に基づき特許庁への出願を通じて技術的な発明(栽培方法や品種改良技術のアイデア等)を保護する権利です。対象・所管官庁・保護の考え方が異なる別々の知的財産制度であり、育成者権にも一定の保護期間(品種の性質により年数が異なる)が定められています。

覚え方:育成者権=「品種そのもの」を守る、特許権=「技術のアイデア」を守る、と対象が違う。

問49 地理的表示保護制度 地理的表示(GI)保護制度の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 特定の地域で長年培われた特性を持つ農林水産物・食品等の名称を、地域の知的財産として登録・保護する制度である
  • GI保護制度に登録されると、その産品の価格を国が一律に固定する
  • GI保護制度は輸出専用の産品のみを対象とした制度である
  • GI保護制度に登録すると、登録者以外はいかなる産品も生産できなくなる
  • GI保護制度は品種登録(育成者権)とまったく同じ制度である

解説:地理的表示(GI:Geographical Indication)保護制度は、特定の地域の自然的・人文的な環境の中で長年培われてきた品質や社会的評価などの特性を有する農林水産物・食品等について、その名称を地域の知的財産として登録・保護する制度です。登録された名称は基準を満たす産品のみが使用でき、模倣品の排除や産品のブランド価値向上につながります。個々の産品自体の生産を独占するものではなく、地域共有の名称を保護する仕組みである点が育成者権とは異なります。

覚え方:GI保護制度=「地域の名前」を守るブランド保護制度。個人の発明を守る特許とは別物。

問50 畑作物の直接支払交付金 畑作物の直接支払交付金(いわゆる「ゲタ対策」)の趣旨として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 諸外国との生産条件の格差により生じるコスト差を補うため、対象畑作物の生産者に交付金を交付する仕組みである
  • 畑作物の価格を市場価格より高く固定する仕組みである
  • 畑作物の輸出量に応じて交付される補助金である
  • 対象は野菜・果樹全般であり、麦・大豆等の土地利用型畑作物は対象外である
  • ゲタ対策は認定農業者以外には一切交付されない

解説:畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)は、麦・大豆・てん菜・でん粉原料用ばれいしょなど土地利用型の畑作物について、諸外国との生産条件(規模や気候等)の格差から生じる不利なコスト差を補正するために、生産者に交付金を交付する経営所得安定対策の一つです。数量払(実際の生産量に応じた交付)と面積払(営農継続のための交付)の組み合わせで運用されています。

覚え方:ゲタ対策=海外との「コスト差」を埋めるための下駄(補正)を履かせる交付金。

問51 水田活用の直接支払交付金 水田活用の直接支払交付金の趣旨として、最も適切なものを選びなさい。
  • 水田を全面的に耕作放棄することを推奨するための交付金である
  • ✅ 水田を活用して、麦・大豆・飼料作物・野菜など主食用米以外の作物を生産する取り組みを支援する交付金である
  • 水田で主食用米のみを生産する場合にのみ交付される交付金である
  • 水田活用の直接支払交付金は、畑地化された農地には一切交付されない
  • 水田活用の直接支払交付金は輸出用米のみを対象とする

解説:水田活用の直接支払交付金は、水田の持つ生産基盤を活用しながら、需要に応じた麦・大豆・飼料作物・野菜・加工用米・飼料用米など主食用米以外の作物の生産を行う取り組みを支援する交付金です。米の需給バランスの安定と水田のフル活用(耕作放棄の防止)を両立させることを狙いとした経営所得安定対策の一環です。

覚え方:水田活用の直接支払=「米以外を作る水田」を後押しする交付金。

問52 経営所得安定対策 「経営所得安定対策」の全体像として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)と収入減少影響緩和対策(ならし対策)を柱として、担い手の経営の安定を図る政策の総称である
  • 経営所得安定対策は、認定農業者以外を対象とした唯一の政策である
  • 経営所得安定対策は、農業共済制度と完全に同一の制度である
  • 経営所得安定対策の対象品目は米のみに限定されている
  • 経営所得安定対策は、輸出振興のみを目的とした政策である

解説:経営所得安定対策は、諸外国との生産条件格差を補正する畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)と、収入変動の影響を緩和する収入減少影響緩和対策(ならし対策)を中心として、認定農業者や集落営農といった担い手の経営の安定を図ることを目的とした一連の政策の総称です。対象品目は米・麦・大豆等の土地利用型作物が中心で、輸出振興そのものを直接の目的とした政策ではありません。

覚え方:経営所得安定対策=「ゲタ対策+ならし対策」の2本柱で担い手の経営を支える政策。

問53 地域集積協力金 農地中間管理事業の推進に伴い交付される「地域集積協力金」の趣旨として、最も適切なものを選びなさい。
  • 個々の農業者が農地を手放さずに保有し続けることを奨励するための交付金である
  • ✅ 地域内でまとまって農地を農地中間管理機構に貸し付け、担い手への集積・集約化に協力した地域等に対して交付される協力金である
  • 地域集積協力金は、農地を転用した場合にのみ交付される
  • 地域集積協力金は、耕作放棄地をそのまま放置した場合に交付される
  • 地域集積協力金は個人の農業者の所得補償を直接の目的とした制度である

解説:地域集積協力金は、集落など地域でまとまって農地を農地中間管理機構に貸し付け、担い手への農地の集積・集約化に協力した場合に、地域や機構への貸し付けを行った農業者等に対して交付される協力金です。個々バラバラに農地を出すよりも、地域全体でまとまって取り組むことを後押しする狙いがあります。

覚え方:地域集積協力金=「地域ぐるみで農地をまとめて出す」ことへのご褒美的な交付金。

問54 農村RMO 近年推進されている「農村RMO(地域運営組織)」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 農業生産のみを行う専業農家の集まりを指す用語である
  • ✅ 複数の集落が連携し、農用地の保全活動に加え、生活支援サービスなど地域コミュニティの維持に資する取り組みを一体的に行う組織である
  • 農村RMOは国が直接運営する行政組織である
  • 農村RMOは農地の売買のみを仲介する不動産業者を指す
  • 農村RMOへの参加は、専業農家以外には一切認められない

解説:農村RMO(Region Management Organization:農村型地域運営組織)は、人口減少・高齢化が進む農村地域において、複数の集落が連携し、多面的機能支払等による農用地の保全活動に加え、買い物支援や見守りといった生活支援サービスなど、地域コミュニティの維持に必要な取り組みを一体的・継続的に行う組織です。専業農家に限らず、地域住民や関係団体が幅広く関わる仕組みとして推進されています。

覚え方:農村RMO=「農地の保全」と「暮らしの支え合い」をセットで担う地域組織。

問55 半農半X 「半農半X」と呼ばれるライフスタイルの説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 農業だけに専念し、他のいかなる仕事も一切行わない生き方を指す
  • ✅ 自給的な農業を営みながら、他に自分のやりたい仕事や活動(X)を組み合わせて生計を立てる生き方を指す
  • 半農半Xは、必ず法人化を前提とした農業経営形態を指す用語である
  • 半農半Xは、大規模専業農家のみに適用される概念である
  • 半農半Xは、農業を一切行わない移住者のみを指す用語である

解説:半農半Xは、自給的な小規模農業を営みながら、それぞれが持つ得意分野や関心のある仕事・活動(Xの部分は人により様々)を組み合わせて生計を立てる暮らし方・働き方を指す言葉です。移住者や田園回帰を志向する人々のライフスタイルの一つとして注目されており、農業を専業とすることを前提とはしていません。

覚え方:半農半X=「農業」+「自分のやりたい仕事(X)」を組み合わせる暮らし方。

問56 鳥獣被害対策 「鳥獣被害防止特別措置法」に基づく市町村の取り組みとして、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 被害防止計画を策定し、鳥獣被害対策実施隊の設置や、捕獲・侵入防止柵の設置等の対策を総合的に進める
  • 野生鳥獣の捕獲をすべて全面的に禁止する
  • 鳥獣被害対策は都道府県のみが行うべきものであり、市町村の役割は一切ない
  • 鳥獣被害防止特別措置法は、農作物被害以外の被害には一切対応しない法律である
  • 被害防止計画の策定は義務ではなく、策定した市町村は存在しない

解説:鳥獣被害防止特別措置法に基づき、市町村は被害防止計画を策定し、農業者等を構成員に含む「鳥獣被害対策実施隊」の設置、捕獲活動、侵入防止柵の設置、緩衝帯の整備など、地域の実情に応じた総合的な鳥獣被害対策を進めることができます。国はこうした市町村の取り組みに対して、鳥獣被害防止総合対策交付金などによる財政支援を行っています。

覚え方:鳥獣被害対策=市町村が「計画を作って総合的に」進めるのが基本の枠組み。

問57 農業経営の法人化 農業経営を法人化することの一般的なメリットとして、最も適切なものを選びなさい。
  • 法人化すると、いかなる税務上の手続きも一切不要になる
  • ✅ 経営と家計の分離が図られ、対外的な信用力の向上や、従業員の雇用・社会保険加入による人材確保がしやすくなる
  • 法人化すると、必ず農地の取得が一切できなくなる
  • 法人化は、経営規模にかかわらずデメリットしか生じない
  • 法人化すると、経営者個人の責任が完全に無限責任になる

解説:農業経営の法人化には、経営と家計の分離による経理の明確化、対外的な信用力の向上(融資や取引の面で有利になりやすい)、社会保険への加入等による従業員の雇用条件の整備・人材確保のしやすさといったメリットがあるとされます。一方で、法人設立・維持のための事務負担や社会保険料負担の増加といったデメリットもあり、経営規模や将来展望に応じた検討が必要です。なお、農地所有適格法人としての要件を満たせば農地の取得も可能です。

覚え方:法人化のメリット=「信用力アップ」と「人を雇いやすくなる」ことが代表格。

問58 農地の利用権設定 農業経営基盤強化促進法に基づく「利用権設定等促進事業」による農地の貸借の特徴として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 農地法3条許可を個別に受けなくても、市町村が公告する農用地利用集積計画に基づいて賃借権等を設定できる簡便な仕組みである
  • この事業を利用すると、所有権が自動的に借り手に移転する
  • 利用権設定には必ず都道府県知事の個別許可が必要である
  • 利用権設定等促進事業は、農地の売買のみを対象とした制度である
  • この事業による貸借は、期間の定めなく永久に継続するものとされている

解説:利用権設定等促進事業は、農業経営基盤強化促進法に基づき、市町村が策定・公告する農用地利用集積計画に基づいて、農地法3条の個別許可を受けることなく賃借権等(利用権)を設定できる仕組みです。手続きの簡素化により、農地の貸し借りを円滑に進め、担い手への農地集積を促進することを目的としています。所有権の移転を伴うものではなく、期間も計画に定めた一定期間で設定されます。

覚え方:利用権設定等促進事業=「3条許可を省略できる」農地貸借の簡便ルート。

問59 農業経営の継承 後継者不足に対応する「第三者継承」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 経営者の親族以外の第三者に、農地・施設・技術・販路等の経営資源を引き継ぐ取り組みである
  • 第三者継承は、必ず経営者の子や親族に限定して行われる継承方法である
  • 第三者継承を行うと、それまで築いてきた販路や技術は一切引き継がれない
  • 第三者継承は法律で一切認められていない継承方法である
  • 第三者継承には、研修期間や経営資源の引き継ぎといったプロセスは一切不要である

解説:第三者継承は、後継者となる親族がいない農業経営者が、血縁関係のない第三者(新規就農希望者や従業員等)に、農地・機械・施設・栽培技術・販路といった経営資源を段階的に引き継ぐ取り組みです。一定期間の研修・共同経営を経て経営を移譲するケースが多く、地域の農業の担い手を確保する手法の一つとして各地で支援策が整備されています。

覚え方:第三者継承=「血縁に頼らない」経営資源の引き継ぎ方。

問60 農業簿記(固定資産税の仕訳) 農業用の建物にかかる固定資産税を現金で納付した場合の仕訳として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 借方:租税公課 貸方:現金
  • 借方:現金 貸方:租税公課
  • 借方:建物 貸方:現金
  • 借方:現金 貸方:建物
  • 借方:租税公課 貸方:建物

解説:農業用の建物等にかかる固定資産税は、事業に関連する税金として「租税公課」という費用科目で処理します。現金で納付した場合は、費用の発生(租税公課)を借方に、資産である現金の減少を貸方に記帳します。固定資産税は建物自体の取得原価には含めず、その年度の費用として処理する点がポイントです。

覚え方:固定資産税の支払い=「租税公課(費用)」で処理。建物の取得原価には含めない。

問61 農業簿記(家事消費) 農業者が自ら生産した農産物の一部を家庭で食べた(家事消費した)場合の会計処理として、最も適切なものを選びなさい。
  • 家事消費した分は、いかなる記帳も一切不要である
  • ✅ 家事消費した農産物の価額を収益として計上する(家事消費等の科目で記帳する)
  • 家事消費した分は、必ず損失(経費)として計上しなければならない
  • 家事消費は、法人化した経営体にのみ発生しうる特殊な取引である
  • 家事消費した農産物は、必ず市場価格の2倍で評価しなければならない

解説:農業者が自ら生産した農産物を販売せずに自家(家庭)で消費した場合、税務上・会計上はその農産物の価額(通常はその年の平均販売価格等をもとに評価)を「家事消費」等の科目で収益として計上する必要があります。販売していなくても実質的に経済的利益を得ているとみなされるため、記帳を省略することはできません。

覚え方:家事消費=売ってはいなくても「収益に計上する」必要がある取引。

問62 農業簿記(未収金・未払金) 農産物を出荷したが、まだ代金を受け取っていない場合に計上する勘定科目として、最も適切なものを選びなさい。
  • 未払金
  • ✅ 未収金(売掛金)
  • 前受金
  • 前払金
  • 借入金

解説:農産物などをすでに出荷・引き渡したものの、まだ代金を受け取っていない場合は、将来受け取る権利がある資産として「未収金」または「売掛金」の科目で処理します。逆に、すでに商品やサービスを受け取ったが代金をまだ支払っていない場合は「未払金」、代金を先に受け取っているが商品をまだ引き渡していない場合は「前受金」というように、取引のタイミングと立場によって使い分ける科目が異なります。

覚え方:「出荷済み・未入金」=未収金(売掛金)。まだもらっていない「もらう権利」。

問63 複式簿記のメリット 農業経営において複式簿記による記帳を行うメリットとして、最も適切なものを選びなさい。
  • 収入と支出の金額のみを記録すればよく、財産の増減は一切把握できない
  • ✅ 取引を借方・貸方の両面から記録することで、損益計算書と貸借対照表の両方を作成でき、経営の実態をより正確に把握できる
  • 複式簿記を行うと、税務署への申告そのものが不要になる
  • 複式簿記は、単式簿記よりも記帳の手間がかからず簡単である
  • 複式簿記によって作成した帳簿は、青色申告特別控除の要件とは無関係である

解説:複式簿記は、一つの取引を借方・貸方の両面から記録する記帳方法で、収益・費用の状況を示す損益計算書と、資産・負債・純資産の状況を示す貸借対照表の両方を作成できるため、単式簿記(収入・支出のみを記録する簡易な方法)に比べて経営の実態をより正確かつ多面的に把握できるメリットがあります。また、複式簿記による記帳は、青色申告特別控除(最大65万円等)の適用を受けるための要件の一つにもなっています。

覚え方:複式簿記=手間はかかるが「損益計算書+貸借対照表」の両方が作れる本格派。

問64 収入保険の基準収入 収入保険制度における「基準収入」の算出方法に関する説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 加入初年度に限り、全国一律の金額があらかじめ定められている
  • ✅ 原則として、過去5年間の平均収入をもとに、その年の作付面積の増減等を考慮して算出される(いわゆる5中5方式等)
  • 基準収入は、加入者の希望する任意の金額をそのまま採用する
  • 基準収入の算出には、過去の実績は一切考慮されない
  • 基準収入は、加入後は一度も見直されることがない

解説:収入保険制度における基準収入は、原則として過去5年間の農業収入の平均値をベースに(用語として「5中5」等と呼ばれる方式が基本形)、当年の作付面積の増減や経営の拡大傾向などを考慮して算出されます。この基準収入と比較して当年の収入が一定以上減少した場合に、その差額の一部が補塡される仕組みとなっています。

覚え方:基準収入=「過去5年間の実績」がベース。ゼロから任意で決められるわけではない。

問65 GAP認証の種類 GAP(農業生産工程管理)の認証制度に関する説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ GAPには第三者認証を伴うもの(JGAP・GLOBALG.A.P.等)と、認証を伴わず自己点検で取り組むものの両方がある
  • GAPは第三者認証を受けなければ、いかなる形でも取り組むことができない
  • GLOBALG.A.P.は日本国内のみで通用する認証であり、海外への輸出には利用できない
  • JGAPとGLOBALG.A.P.は完全に同一の認証基準であり、区別する必要はない
  • GAP認証を取得すると、農薬を一切使用せずに栽培したことが証明される

解説:GAP(農業生産工程管理)には、JGAPやGLOBALG.A.P.、ASIAGAPのように、審査機関による第三者認証を受ける枠組みと、認証を取得せずに生産者自らが点検項目に沿って自己点検・改善に取り組む形の両方があります。GLOBALG.A.P.は国際的に通用する認証規格で輸出先の取引先から求められることもあり、JGAPは国内向けの認証規格として位置づけられます。GAPは食品安全・環境保全・労働安全等の観点からの管理であり、有機栽培(無農薬)を証明するものではありません。

覚え方:GAP=「認証あり/なし」両方のやり方がある。GLOBALG.A.P.は海外向けの認証規格。

問66 農業経営の多角化 農業経営における「多角化」の取り組み例として、最も適切なものを選びなさい。
  • 単一の作物のみを大規模に栽培し、他の事業には一切取り組まないこと
  • ✅ 農業生産に加えて、観光農園や農家民宿、加工品の製造・販売など複数の事業を組み合わせて経営すること
  • 多角化とは、農地の面積を細かく分割することのみを指す用語である
  • 多角化を行うと、経営リスクは必ず増加するだけで分散効果は一切ない
  • 多角化は、法人化した経営体にのみ認められる取り組みである

解説:農業経営の多角化は、主たる農業生産に加えて、観光農園、農家民宿、農産物加工品の製造・販売(6次産業化)など、複数の事業を組み合わせて経営を行うことを指します。異なる収入源を持つことで、天候不順や市況変動など単一部門に依存するリスクを分散させる効果が期待されるほか、周年での労働力活用や所得の向上にもつながる取り組みとして位置づけられています。

覚え方:多角化=農業に「別の収入の柱」を組み合わせてリスクを分散する経営戦略。

問67 直売所・産直 農産物直売所を活用した販売の一般的な特徴として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 市場を介した卸売販売に比べて、生産者自身が価格を設定しやすく、消費者との距離が近い販売方法である
  • 直売所での販売は、必ず市場価格より安値でしか販売できない
  • 直売所を利用すると、農産物の規格・品質管理は一切不要になる
  • 直売所は大規模生産者専用の販売チャネルであり、小規模農家は利用できない
  • 直売所での販売には、いかなる衛生管理・表示ルールも適用されない

解説:農産物直売所は、市場を介した卸売・仲卸を経由する流通に比べて、生産者自身が価格を設定しやすく、消費者と直接顔の見える関係で取引できる販売方法です。小規模・中規模の農家でも比較的取り組みやすい販売チャネルとして広く普及していますが、食品表示や衛生管理に関するルールは通常の食品販売と同様に適用される点に注意が必要です。

覚え方:直売所=「間に市場を挟まない」ぶん、価格設定の自由度が上がる販売方法。

問68 みどりの食料システム法 みどりの食料システム法(環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律)の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 農業者が化学肥料・化学農薬の使用低減や温室効果ガス排出削減等の環境負荷低減事業活動計画を作成し、都道府県知事の認定を受けることで支援措置を受けられる仕組みを定めている
  • この法律は、農業における環境負荷の低減にはまったく言及していない
  • この法律に基づく認定を受けるには、有機JAS認証の取得が絶対条件である
  • この法律は輸出専用の農産物にのみ適用される
  • この法律の認定を受けると、いかなる税制優遇も一切受けられない

解説:みどりの食料システム法は、農業者等が土づくりと化学肥料・化学農薬の使用低減を一体的に行う取り組みや、温室効果ガスの排出削減等に資する事業活動について「環境負荷低減事業活動実施計画」を作成し、都道府県知事の認定を受けることで、税制優遇や融資等の支援措置を受けられる仕組みを定めた法律です。有機JAS認証の取得を絶対条件とするものではなく、より幅広い環境負荷低減の取り組みを対象としています。

覚え方:みどりの食料システム法=「環境に配慮した計画」を都道府県が認定して支援する仕組み。

問69 有機農業の推進 有機農業の推進に関する法律の目的として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 化学的に合成された肥料・農薬を使用しない有機農業の推進に関する施策を総合的に講じ、その発展を図ることを目的とする
  • すべての農業者に対して有機農業への転換を法律で強制することを目的とする
  • 有機農業以外の農業を全面的に禁止することを目的とする
  • 有機農産物の価格をすべて国が一律に決定することを目的とする
  • この法律は有機JASマークの表示基準そのものを定める法律である

解説:有機農業の推進に関する法律は、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない等の有機農業について、国及び地方公共団体が推進に関する基本方針・施策を総合的に講じることで、その発展を図ることを目的とする法律です。有機農業への転換を個々の農業者に強制するものではなく、有機JASマークの表示基準そのものはJAS法(日本農林規格等に関する法律)で別途定められています。

覚え方:有機農業推進法=有機農業を「後押しする」ための基本法。表示基準はJAS法が別途担当。

問70 農業者年金制度 農業者年金制度の特徴として、最も適切なものを選びなさい。
  • 農業者年金は、国民年金とは無関係に独立して加入できる唯一の年金制度である
  • ✅ 一定の要件を満たす場合、保険料の一部について国庫補助(政策支援)を受けられる仕組みがある
  • 農業者年金の保険料は、加入者全員が一律の同一金額でなければならない
  • 農業者年金への加入は、農業に従事しているかどうかにかかわらず誰でも可能である
  • 農業者年金は、老後の年金給付のみで、政策支援による国庫補助という考え方は存在しない

解説:農業者年金は、国民年金の第1号被保険者である農業従事者等を対象とした上乗せの年金制度で、一定の要件(認定農業者や一定年齢未満であること等)を満たす加入者については、保険料の一部について国庫補助を受けられる「政策支援」の仕組みが設けられています。保険料は月額の範囲内(下限額と上限額の間)で加入者が自由に選択・見直しでき、農業に従事していることが加入の前提となる制度です。

覚え方:農業者年金=担い手の確保を後押しするため、保険料の一部を「国が補助」してくれる年金。

問71 農業経営統計の基礎 農業経営における「農業所得」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 農業粗収益(農産物の売上高等)から農業経営費(種苗費・肥料費・減価償却費等)を差し引いた金額のことである
  • 農業粗収益と農業経営費を合計した金額のことである
  • 農業所得は、借入金の総額と一致する数値である
  • 農業所得には、家事消費した農産物の価額は一切含まれない
  • 農業所得は、現金の残高そのものを表す指標である

解説:農業所得は、農産物の販売収入や家事消費額などを含む「農業粗収益」から、種苗費・肥料費・農薬費・減価償却費・雇用労賃といった「農業経営費」を差し引いた金額として算出されます。経営の収益性を測る基本的な指標であり、単なる現金残高や借入金の総額とは異なる概念です。家事消費した農産物の価額も粗収益に含めて計算する点にも注意が必要です。

覚え方:農業所得=「粗収益 − 経営費」。売上そのものではなく、経費を引いた後の儲け。

問72 農業簿記(複式簿記の借方・貸方) 農業用の軽トラックを現金で購入した場合の仕訳として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 借方:車両運搬具 貸方:現金
  • 借方:現金 貸方:車両運搬具
  • 借方:車両運搬具 貸方:借入金
  • 借方:減価償却費 貸方:現金
  • 借方:現金 貸方:減価償却費

解説:農業用の軽トラックのような固定資産を現金で購入した場合、資産である「車両運搬具」が増加するため借方に、資産である「現金」が減少するため貸方に記帳します。借入によって購入した場合は貸方が「借入金」になるなど、支払い手段によって記帳する相手科目が変わる点も基本として押さえておく必要があります。

覚え方:資産の購入=「増えた資産を借方」、「減った現金を貸方」に記帳するのが基本形。

問73 農地台帳 農業委員会が整備・公表する「農地台帳」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 個々の農地の所在・地番・地目・面積・所有者・耕作者等の情報を整備した台帳で、一定の事項はインターネット等で公表されている
  • 農地台帳は、農産物の販売価格を記録するための帳簿である
  • 農地台帳の整備・公表は、農業委員会ではなく国税庁が担当する業務である
  • 農地台帳に記載された情報は、いかなる場合も一切公表されない
  • 農地台帳は、家畜の個体識別情報を記録するための台帳である

解説:農地台帳は、農業委員会が農地法等に基づき整備する台帳で、個々の農地の所在・地番・地目・面積・所有者・耕作者・貸借の状況などの情報がまとめられています。農地の効率的な利用集積や遊休農地対策などに活用されるとともに、所有者情報等を除く一定の事項についてはインターネット等を通じて公表され、農地の貸し借りを希望する者等が情報を確認できるようになっています。

覚え方:農地台帳=農地版の「登記簿+耕作状況の一覧」。一部はネットで公開されている。

問74 全国農業会議所の役割 全国農業会議所を含む「農業委員会ネットワーク機構」の役割として、最も適切なものを選びなさい。
  • 個々の農地の売買契約を直接締結する当事者として機能する
  • ✅ 都道府県農業会議・全国農業会議所が、農業委員会の活動を支援し、農地情報の提供や新規就農相談などのネットワークとしての機能を担う
  • 農業委員会ネットワーク機構は、農産物の価格を決定する機関である
  • 農業委員会ネットワーク機構は、農薬の登録審査を行う機関である
  • 農業委員会ネットワーク機構は、家畜伝染病の発生を監視する専門機関である

解説:農業委員会ネットワーク機構(都道府県段階の農業会議、全国段階の全国農業会議所)は、市町村の農業委員会の活動を支援し、農地に関する情報の提供・調査研究、新規就農の相談対応、農業者年金業務の一部など、全国的・広域的なネットワーク機能を担う組織です。個々の売買契約の当事者になったり、価格決定・農薬登録・伝染病監視を行ったりする機関ではありません。

覚え方:全国農業会議所=市町村の農業委員会を「後方支援」するネットワーク機構。

問75 特定技能制度と農業 外国人材の受け入れに関する在留資格「特定技能」の農業分野における位置づけとして、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 特定技能は、一定の技能水準・日本語能力を有する外国人が農業分野を含む特定産業分野で就労できる在留資格である
  • 特定技能の在留資格は、農業分野には一切認められていない
  • 特定技能で受け入れた人材は、いかなる技能実習の経験がなくても必ず永住権を即座に取得できる
  • 特定技能は、日本人の雇用を完全に代替することのみを目的とした制度である
  • 特定技能による就労には、いかなる審査や試験も課されない

解説:特定技能は、人手不足が深刻な特定の産業分野(農業を含む)において、一定の専門性・技能水準や日本語能力を持つ外国人材の就労を認める在留資格です。技能試験・日本語試験に合格するなど一定の要件を満たす必要があり、農業の労働力確保の選択肢の一つとして活用が進んでいます。永住権の即時取得を保証する制度ではありません。

覚え方:特定技能=「一定の技能・日本語力」を試験等で確認したうえで働ける在留資格。

問76 農地耕作条件改善事業 農地耕作条件改善事業の目的として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 区画拡大や暗渠排水の整備など、担い手への農地集積とあわせて農地の生産条件を改善することを目的とする
  • 農地の生産条件の改善には一切関与せず、農産物の販売促進のみを行う事業である
  • この事業は、農地を宅地化するための基盤整備のみを対象とする
  • この事業の対象は、耕作放棄地以外の農地には一切適用されない
  • この事業は、農業機械の購入費用の全額を補助する制度である

解説:農地耕作条件改善事業は、農地中間管理事業等による担い手への農地集積とあわせて、区画拡大や暗渠排水の整備、畦畔除去といった簡易な基盤整備を行うことで、農地の生産条件(作業効率・排水性等)を改善し、担い手の営農の効率化を後押しすることを目的とした事業です。宅地化のための整備や機械購入の全額補助を目的とした事業ではありません。

覚え方:農地耕作条件改善事業=「集積した農地」をさらに「使いやすく整える」ための基盤整備。

問77 農業保険法 収入保険制度と農業共済制度の根拠法である「農業保険法」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 農業保険法は、収入保険と農業共済のいずれか一方のみを定めた法律である
  • ✅ 農業保険法は、農業災害補償法を改正・改称して収入保険制度を位置づけた法律で、収入保険・農業共済の両制度の根拠となっている
  • 農業保険法は、農業機械の保険(任意の損害保険)についてのみ定めた法律である
  • 農業保険法の対象は、水稲共済のみに限定されている
  • 農業保険法は、健康保険と同一の制度を農業者向けに定めた法律である

解説:農業保険法は、従来の農業災害補償法を改正・改称する形で、新たに収入保険制度を位置づけた法律で、農業共済制度(従来からの災害補償)と収入保険制度の両方の根拠法となっています。両制度は同一品目について重複して加入することはできず、農業者は自らの経営品目やリスクの特性に応じていずれかを選択して加入します。

覚え方:農業保険法=旧「農業災害補償法」がベース。共済と収入保険、両方の根拠法。

問78 特定農業法人・特定農業団体 農業経営基盤強化促進法における「特定農業団体」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 特定農業団体は、法人化された農業経営体のみを指す用語である
  • ✅ 地域の中心的な担い手として、集落営農の合意に基づき農用地の利用集積を進める、法人化を目指す任意組織を指す
  • 特定農業団体は、農地の所有権を一切保有できない組織である
  • 特定農業団体は、行政機関が直接運営する組織を指す
  • 特定農業団体の要件には、農用地の利用集積目標は一切関係しない

解説:特定農業団体は、農業経営基盤強化促進法に基づき、集落等の合意のもとで地域の中心的な担い手として位置づけられ、一定期間内の法人化を目指しながら農用地の利用集積目標を掲げて活動する任意組織(集落営農組織等)を指します。将来的に「特定農業法人」(要件を満たして法人化した組織)へと発展していくことが想定されている点が特徴です。

覚え方:特定農業団体=「いずれ法人化を目指す」集落営農の卵のような位置づけ。

問79 農地転用の許可権者 農地法4条・5条に基づく農地転用の許可(届出)に関する説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 面積にかかわらず、すべての農地転用は農林水産大臣の許可を必ず受けなければならない
  • ✅ 市街化区域内の農地については、都道府県知事等への届出で足り、許可までは不要とされている
  • 農地転用の許可権者は、常に市町村長のみである
  • 農地転用には、いかなる面積区分による許可権者の違いも存在しない
  • 農地転用の許可は、農業委員会が最終的な許可権者として決定する

解説:農地転用(4条・5条)は、原則として都道府県知事等(面積が大きい場合は農林水産大臣と協議のうえ知事等が許可)の許可が必要ですが、都市計画法上の市街化区域内にある農地については、あらかじめ市街化を促進する区域として位置づけられていることから、許可ではなく届出で足りるとされています。市町村の農業委員会は、許可申請の経由機関として意見を付す役割を担いますが、最終的な許可権者ではありません。

覚え方:市街化区域の農地転用=「許可」ではなく「届出」で足りる特例がある。

問80 遊休農地対策 農地法に基づく遊休農地に対する措置として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 農業委員会が利用状況調査を行い、必要に応じて所有者への利用意向調査や農地中間管理機構への貸付けの勧告等の措置を講じる仕組みがある
  • 遊休農地は、発見された時点で即座に国有化される
  • 遊休農地に対しては、いかなる行政上の措置も講じられない
  • 遊休農地対策は、都道府県知事のみが個別に対応する制度で、農業委員会は一切関与しない
  • 遊休農地であっても、固定資産税が軽減されることはない

解説:農地法に基づき、農業委員会は毎年、農地の利用状況調査(いわゆる「農地パトロール」)を行い、耕作されていない遊休農地を把握した場合には、所有者に今後の利用意向を確認する調査を行います。その結果、農地としての適正な利用が見込まれない場合には、農地中間管理機構への貸付けの勧告など、段階を踏んだ措置が講じられる仕組みになっています。なお、遊休農地については固定資産税が通常より重く課される特例(課税の強化)が設けられている点も、逆の方向で押さえておくとよいポイントです。

覚え方:遊休農地対策=「調査→意向確認→勧告」と段階を踏んで手放させる仕組み。

問81 農業次世代人材投資事業の変遷 新規就農者向けの資金交付事業の名称変遷に関する説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 制度創設以来、名称・支援内容ともに一度も変更されたことがない
  • ✅ 「青年就農給付金」として創設された後、「農業次世代人材投資事業」に改称され、現在は「新規就農者育成総合対策」として運用されている
  • この事業は、当初から一貫して「新規就農者育成総合対策」という名称で運用されてきた
  • この事業は、法人向けの融資制度としてのみ運用されてきた
  • この事業の対象は、一貫して准組合員のみに限定されてきた

解説:新規就農者向けの資金交付事業は、当初「青年就農給付金」として創設され、その後「農業次世代人材投資事業」に改称、さらに現在は「新規就農者育成総合対策」として運用されるなど、時代の状況にあわせて名称や支援内容(交付額・交付期間等)の見直しが重ねられてきました。過去問題集や参考書で取り上げられている名称・金額が、現行制度と異なる場合があるため、最新の制度概要をあわせて確認しておくことが大切です。

覚え方:青年就農給付金→農業次世代人材投資事業→新規就農者育成総合対策、と名前が変遷してきた制度。

問82 農地の相続と登記 近年の法改正で新たに義務化された「相続登記」に関する説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 相続登記は、これまでもこれからも一貫して任意であり、義務化されたことはない
  • ✅ 相続によって不動産(農地を含む)を取得したことを知った日から一定期間内に、相続登記を申請することが義務付けられた
  • 相続登記の義務化は、農地には一切適用されず、宅地のみが対象である
  • 相続登記を怠っても、いかなる場合も罰則は科されない
  • 相続登記の義務化により、農地の相続そのものが禁止されるようになった

解説:所有者不明土地問題への対応として、不動産登記法の改正により、相続によって不動産(農地を含む)を取得したことを知った日から一定期間内(原則3年以内)に相続登記を申請することが義務付けられました。正当な理由なく期間内に申請を怠ると過料の対象となる場合があります。農地の相続未登記は、担い手への集積や適正な管理を妨げる要因ともなるため、農業分野でも重要性の高い制度改正です。

覚え方:相続登記=「知ってから一定期間内に申請」が義務化された近年の制度改正。

問83 農地の集積率 「担い手への農地集積率」という指標が示す内容として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 国内の総農地面積に対して、担い手(認定農業者・集落営農等)が利用する農地面積が占める割合を示す指標である
  • 担い手一人当たりの平均所得を示す指標である
  • 農地の売買価格の平均値を示す指標である
  • 担い手への農地集積率は、農産物の輸出額を示す指標である
  • この指標は、家畜の飼養頭数を示す指標である

解説:担い手への農地集積率は、国内の総農地面積のうち、認定農業者や集落営農組織などの担い手が利用(所有・借入)している農地面積の割合を示す政策指標です。農地中間管理事業をはじめとする農地集積・集約化施策の進捗状況を評価する重要な指標として、国の政策目標にも用いられています。

覚え方:農地集積率=「担い手がどれだけの農地をまとめて使っているか」を示す物差し。

問84 農地中間管理事業の推進に関する法律 「農地中間管理事業の推進に関する法律」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 各都道府県に設置された農地中間管理機構(農地バンク)の業務や、農地中間管理事業の実施手続き等を定めた法律である
  • この法律は、農地の固定資産税評価額の算定基準のみを定めた法律である
  • この法律は、農薬の登録審査の手続きのみを定めた法律である
  • この法律は、家畜伝染病の予防措置のみを定めた法律である
  • この法律は、農業共済の掛金率のみを定めた法律である

解説:農地中間管理事業の推進に関する法律は、各都道府県に指定される農地中間管理機構(いわゆる農地バンク)が行う農地中間管理事業(農地を借り受けて担い手にまとめて貸し付ける事業)の実施主体・業務内容・手続き等を定めた法律です。農地の集積・集約化を制度面から支える根拠法として、農業経営基盤強化促進法とあわせて理解しておくことが重要です。

覚え方:農地中間管理事業の推進に関する法律=「農地バンク」そのものの設置根拠となる法律。

問85 農業経営の複合化 水稲単作経営から、水稲と園芸品目を組み合わせた「複合経営」に移行することの一般的な利点として、最も適切なものを選びなさい。
  • 労働力や収入の時期が特定の時期に集中し、経営リスクがかえって増大する
  • ✅ 作物ごとに収穫・出荷時期をずらすことで労働力を年間で平準化しやすく、単一品目への依存によるリスクを分散できる
  • 複合経営は、必ず単作経営よりも収益性が低下する経営形態である
  • 複合経営を行うと、必要な農業機械の種類は単作経営より必ず少なくなる
  • 複合経営は、大規模経営体にのみ認められる特別な経営形態である

解説:水稲単作経営は繁忙期が特定の時期に集中しやすい一方、性質の異なる園芸品目等を組み合わせた複合経営では、作物ごとの作業時期をずらすことで年間を通じた労働力の平準化を図りやすく、価格変動や天候不順など単一品目に依存するリスクを分散できる利点があります。規模の大小にかかわらず取り組める経営の工夫の一つです。

覚え方:複合経営=「作業の時期をずらす」ことで、労力の山谷とリスクの両方をならす工夫。

問86 農産物の輸出重点品目 国の農林水産物・食品の輸出戦略における「輸出重点品目」の考え方として、最も適切なものを選びなさい。
  • すべての品目を区別なく一律に輸出促進の対象とする考え方である
  • ✅ 海外での需要や成長性が見込まれる品目を重点的に選定し、生産から海外市場開拓までを一体的に後押しする考え方である
  • 輸出重点品目に指定されると、その品目の国内販売は一切禁止される
  • 輸出重点品目の選定には、海外市場の動向は一切考慮されない
  • 輸出重点品目は、毎年まったく見直されることのない固定リストである

解説:国の輸出戦略では、海外市場での需要や今後の成長性が見込まれる品目を「輸出重点品目」として選定し、生産体制の強化、輸出先国の規制・検疫への対応、プロモーションなど、生産から販路開拓までを一体的に支援する仕組みが取られています。国内販売を禁止するものではなく、輸出拡大と国内需要の両立を図る考え方に基づいています。重点品目は市場動向等を踏まえて見直しが行われます。

覚え方:輸出重点品目=「海外で伸びしろのある品目」を選んで集中的に後押しする考え方。

問87 スマート農業技術活用促進法 スマート農業技術の活用の促進に関する法律の趣旨として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ スマート農業技術に対応した生産方式への転換や基盤整備等の計画を策定した農業者に対し、必要な資金の融通の円滑化等の支援を行う枠組みを定めている
  • この法律は、従来のアナログな農業技術のみを保護することを目的とする
  • この法律は、農業機械の輸出のみを規制する法律である
  • この法律の対象は、稲作以外のすべての作物には一切適用されない
  • この法律に基づく計画の策定は、法人にのみ認められている

解説:スマート農業技術の活用の促進に関する法律は、ロボット・AI・ICT等のスマート農業技術を効果的に活用するための生産方式の導入計画(区画整理や技術導入等)を策定した農業者等に対し、計画の認定を通じて資金の融通の円滑化(融資に関する支援)などの措置を講じることを定めた法律です。個人・法人を問わず活用でき、特定の作物や従来技術の保護のみを目的とした法律ではありません。

覚え方:スマート農業技術活用促進法=「導入計画」を認定して資金面から後押しする仕組み。

問88 農業水利施設の維持管理 農業用の用排水路など農業水利施設の維持管理に関する説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 農業水利施設の維持管理は、施設が完成した後は一切必要ない
  • ✅ 土地改良区や多面的機能支払交付金を活用した地域活動などにより、日常的な点検・補修・泥上げ等の維持管理が継続的に行われている
  • 農業水利施設の維持管理は、国が直接すべての作業を行い、地域住民は一切関与しない
  • 農業水利施設は、一度整備すれば老朽化が一切進行しない構造物である
  • 農業水利施設の維持管理費用は、常に全額が国庫から支出される

解説:農業用の用排水路や頭首工などの農業水利施設は、整備後も継続的な維持管理(点検・補修・泥上げ・草刈り等)が必要です。これらは土地改良区による管理に加え、多面的機能支払交付金を活用した地域住民・農業者の共同活動によっても支えられており、施設の老朽化対策や更新整備とあわせて、地域ぐるみでの維持管理の重要性が高まっています。

覚え方:農業水利施設=作って終わりではなく「地域ぐるみで維持管理し続ける」ことが不可欠。

問89 特定農業法人 特定農業団体等が要件を満たして法人化した「特定農業法人」の位置づけとして、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 特定農業法人は、地域の農用地の相当部分について利用集積を担う、集落営農等を基盤とした農地所有適格法人の一類型である
  • 特定農業法人は、農業に一切関与しない投資専門の法人を指す
  • 特定農業法人になると、農地の権利を一切保有できなくなる
  • 特定農業法人は、必ず株式会社形態でなければならない
  • 特定農業法人は、行政機関そのものである

解説:特定農業法人は、特定農業団体などの集落営農組織が要件を満たして法人化したもので、地域における農用地利用の中心的な担い手として、一定の利用集積目標のもとで農業経営を行う農地所有適格法人の一類型として位置づけられます。法人形態は株式会社に限らず、農事組合法人など複数の形態が認められています。

覚え方:特定農業法人=「特定農業団体が法人化した姿」。地域の担い手として農地集積を担う。

問90 地産地消 「地産地消」の取り組みとして、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 地域で生産された農産物を、その地域で消費することを推進する取り組みである
  • 地産地消とは、農産物をすべて海外に輸出することを指す用語である
  • 地産地消の取り組みは、学校給食での地場産物の活用とは一切関係がない
  • 地産地消は、大規模な広域流通のみを推進する考え方である
  • 地産地消に取り組むと、農産物の品質・安全性は一切考慮しなくてよくなる

解説:地産地消は、地域で生産された農産物を、その地域で消費することを推進する取り組みで、生産者と消費者の距離を縮め、輸送コストや環境負荷の低減、地域農業の活性化、食育の推進などにつながるとされています。学校給食での地場産物の活用や直売所での販売なども地産地消の代表的な取り組みとして位置づけられ、食品としての品質・安全性の確保が不要になるわけではありません。

覚え方:地産地消=「地元で作って、地元で食べる」を後押しする取り組み。

問91 農業用水利権 農業用水を利用するために必要となる「水利権」に関する説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 水利権は、河川法等に基づき河川管理者の許可を得るなどして取得する、農業用水を取水・利用するための権利である
  • 水利権は、農地を所有していれば自動的に無条件で発生する権利である
  • 水利権は、農業者個人が自由に売買できる一般的な商品である
  • 水利権の取得には、いかなる法律上の手続きも必要ない
  • 水利権は、一度取得すると水量・取水地点にかかわらず永久に変更できない

解説:農業用水利権は、河川法等に基づき河川管理者(国・都道府県)の許可を受けるなどの手続きを経て取得する、河川等から一定の水量を取水し農業用水として利用するための権利です。土地改良区が地域の農業者を代表して水利権を管理・行使することが多く、農地の所有権とは別に成立している権利である点に注意が必要です。

覚え方:水利権=農地とは別に「取水の許可」として成立している権利。

問92 農地の相続と管理 相続した農地を耕作する意思がない場合に取り得る対応として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 農地中間管理機構への貸付けや、農業委員会・地域の担い手への相談を通じて、耕作を委ねる先を探すといった対応が考えられる
  • 耕作する意思がなければ、いかなる管理も行わずそのまま放置してよい
  • 相続した農地は、耕作する意思がなければ自動的に国が買い上げてくれる仕組みが常にある
  • 耕作意思のない農地は、相続と同時に自動的に宅地に地目変更される
  • 耕作する意思がない場合、相続放棄以外に選択肢は一切存在しない

解説:相続した農地を自ら耕作する意思がない場合でも、放置すれば遊休農地化や周辺への悪影響(病害虫の発生源、景観の悪化等)につながるおそれがあります。そのため、農地中間管理機構への貸付けや、農業委員会・地域の担い手への相談を通じて、耕作を引き受けてくれる借り手・担い手を探すといった対応を検討することが望ましいとされています。放置は遊休農地対策の対象となり得ます。

覚え方:耕作意思のない相続農地=「放置せず、貸し出す・相談する」のが基本の対応。

問93 農業の雇用労働力確保 農業経営における労働力確保の方法である「農業版ハローワーク(農業専門の職業紹介)」的な取り組みの意義として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 農業に特化した求人・求職のマッチングを行うことで、繁忙期の労働力不足の解消や新規就業者の呼び込みを図る
  • この取り組みは、農業者の求人ニーズをまったく反映しない仕組みである
  • 農業専門の職業紹介の取り組みは、法律上一切認められていない
  • この仕組みを使うと、労働基準法の適用が完全に除外される
  • 農業専門の職業紹介は、外国人材の受け入れとは一切関係がない

解説:農業は季節による労働需要の変動が大きく、繁忙期の人手不足が課題となりやすい産業です。農業に特化した職業紹介・マッチングの取り組みは、求人(農業経営体)と求職者(短期・長期の労働力を求める人材、他産業からの転職希望者、外国人材等)を効果的に結びつけることで、労働力不足の緩和や新たな担い手の呼び込みに役立てられています。労働基準法の適用が除外されるわけではありません。

覚え方:農業特化の職業紹介=「繁忙期の人手不足」を解消するマッチングの仕組み。

問94 農業経営のキャッシュフロー 農業経営における「キャッシュフロー(資金繰り)」管理の重要性に関する説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 帳簿上の利益が黒字であれば、資金繰りは常に問題にならない
  • ✅ 農業は収入時期が季節的に偏りやすいため、支出とのタイミングのずれを把握し、資金がショートしないよう管理することが重要である
  • 農業経営では、資金繰りの管理はまったく必要ない
  • キャッシュフロー管理は、法人化した経営体にのみ必要な考え方である
  • 帳簿上の利益と手元資金の増減は、常に完全に一致する

解説:農業経営は、収穫・出荷のタイミングに応じて収入が季節的に偏る一方、肥料・農薬・人件費などの支出は生育期間を通じて発生するため、帳簿上の利益が黒字であっても、支払いのタイミングによっては手元資金が不足する(黒字倒産的な状況になる)リスクがあります。そのため、収入と支出のタイミングのずれを見越した資金繰り(キャッシュフロー)管理が、規模の大小や法人・個人を問わず重要とされています。

覚え方:利益と現金は別物=「黒字でも資金繰りに詰まる」ことがあるので要注意。

問95 集落営農の法人化 任意組織である集落営農を法人化することの一般的な利点として、最も適切なものを選びなさい。
  • 法人化すると、構成員の農業機械をそれぞれ個別に維持する必要が必ず増える
  • ✅ 経営責任の所在が明確になり、対外的な信用力の向上や、経営所得安定対策等の対象要件を満たしやすくなる
  • 法人化すると、集落営農はいかなる補助事業も一切利用できなくなる
  • 法人化は、構成員の高齢化対策とはまったく無関係である
  • 法人化すると、必ず構成員全員の合意なしに意思決定ができるようになる

解説:任意組織のままの集落営農は、代表者個人の責任に依存しやすく、経営の継続性や対外的信用の面で課題を抱えることがあります。法人化することで、経営責任の所在(法人としての権利義務)が明確になり、融資や契約における信用力の向上、経営所得安定対策など一部の施策で求められる法人形態等の要件を満たしやすくなるといった利点が期待されます。構成員の合意形成の重要性自体は法人化後も変わりません。

覚え方:集落営農の法人化=「個人の責任」から「組織の責任」へ。信用力アップにつながる。

問96 農業簿記(元入金) 個人経営の農業者が用いる農業簿記における「元入金」の説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 元入金は、法人の資本金に相当する、個人事業における事業の元手(自己資本)を示す勘定科目である
  • 元入金は、金融機関からの借入金を示す勘定科目である
  • 元入金は、農産物の売上高を示す勘定科目である
  • 元入金は、農業経営費の一区分として費用に計上される科目である
  • 元入金は、家事消費した農産物の価額のみを示す科目である

解説:元入金は、個人事業(個人経営の農業)における貸借対照表上の純資産の部に計上される勘定科目で、法人でいう資本金に相当する、事業の元手(自己資本)を示します。毎年の所得(利益)や事業主の出し入れ(事業主借・事業主貸等)によって残高が変動し、個人経営の財政状態を把握するうえで基本となる科目の一つです。

覚え方:元入金=個人事業版の「資本金」。法人の資本金と対応させて覚える。

問97 農業共済の掛金率 農業共済(水稲共済等)の共済掛金率を左右する要素として、最も適切なものを選びなさい。
  • 加入者の性別のみによって一律に決定される
  • ✅ 対象品目・地域ごとの過去の被害率の実績等をもとに算定され、危険度の高い地域ほど掛金率が高くなる傾向がある
  • 共済掛金率は、全国どの地域でも品目を問わず完全に同一である
  • 共済掛金率は、加入者の年齢のみによって決定される
  • 共済掛金率の算定には、過去の被害実績は一切考慮されない

解説:農業共済の共済掛金率は、対象となる品目や地域ごとの過去の被害率(災害等による損失の実績)をもとに算定される仕組みになっており、自然災害等のリスクが高い地域ほど掛金率が高くなる傾向があります。損害保険の考え方と同様、リスクの大きさに応じて負担を分かち合う仕組みとして設計されています。

覚え方:共済掛金率=「過去の被害の多さ」に応じて変わる、リスクに応じた負担の仕組み。

問98 農地転用許可の立地基準 農地転用許可における立地基準(農地区分)の考え方として、最も適切なものを選びなさい。
  • すべての農地は同一の基準で扱われ、区分による許可の可否の違いは一切存在しない
  • ✅ 集団的に存在する優良農地(甲種農地・第1種農地等)ほど転用は原則不許可とされ、市街地に近い農地ほど許可されやすい傾向がある
  • 優良な農地ほど、転用の許可を得やすい仕組みになっている
  • 農地区分は、都道府県ごとにまったく異なる独自の名称で運用され、全国共通の考え方は存在しない
  • 農地転用許可の立地基準は、農地の面積のみで決定され、周辺の土地利用状況は一切考慮されない

解説:農地転用許可の立地基準では、集団的に存在するまとまった優良農地(甲種農地・第1種農地等)ほど、今後も農業上の利用を確保すべき農地として転用が原則不許可とされる一方、市街地の中にある、または市街地化の傾向が著しい区域にある農地(第3種農地等)は、原則として許可される傾向にあるというように、農地の区分(優良度・市街地との近接度)に応じて許可の方針が異なる仕組みになっています。

覚え方:優良な農地ほど転用は「原則不許可」。市街地に近いほど許可されやすい、と逆に覚える。

問99 農業経営のBCP(事業継続計画) 農業経営における事業継続計画(BCP)の考え方として、最も適切なものを選びなさい。
  • ✅ 自然災害や設備故障等の緊急事態が発生した際に、被害を最小限に抑え、事業を早期に再開・継続するためにあらかじめ備えを検討しておく取り組みである
  • BCPは、平常時の生産性向上のみを目的とした計画である
  • BCPを策定すると、自然災害の発生そのものを未然に防止できる
  • BCPは、大企業にのみ求められる考え方であり、農業経営体には一切関係がない
  • BCPの策定には、リスクの想定はまったく必要ない

解説:事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)は、自然災害、家畜伝染病の発生、施設・設備の故障といった緊急事態が発生した際に、被害を最小限に抑えつつ、重要な業務を継続または早期に復旧させるために、平常時からリスクを想定し対応策を検討しておく取り組みです。近年は農業分野でも、気象災害の激甚化等を背景にBCP策定の重要性が指摘されており、経営規模の大小にかかわらず有効な考え方とされています。

覚え方:BCP=「もしもの時」に備えて、事業を止めない・早く戻すための事前準備。

問100 農業の多面的機能の評価 農業・農村の多面的機能を経済的に評価しようとする考え方に関する説明として、最も適切なものを選びなさい。
  • 多面的機能は市場で直接取引される価値であるため、経済評価を行う必要は一切ない
  • ✅ 洪水防止や水源涵養などの機能を、代替施設の建設費用等をもとに貨幣価値に換算して評価しようとする試みが行われてきた
  • 多面的機能の経済評価は、農業政策の議論とはまったく無関係である
  • 多面的機能の評価額は、農産物の市場価格と完全に一致する
  • 多面的機能は、評価すること自体が法律で禁止されている

解説:農業・農村の多面的機能(洪水防止、水源涵養、良好な景観形成等)は市場で直接取引される財ではないため、その価値を可視化する手法として、同等の機能を代替施設(ダムや貯水池等)で代替した場合の建設・維持費用をもとに貨幣価値に換算するなどの経済評価の試みが、研究機関等によって行われてきました。こうした評価は、多面的機能支払制度など政策の必要性を説明する根拠の一つとしても用いられています。

覚え方:多面的機能の経済評価=「代替施設ならいくらかかるか」で間接的に価値を見積もる手法。

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