トップ解説記事

共通(農業基礎)

食と農の用語を整理する|食料自給率・6次産業化・トレーサビリティ

農業技術検定3級で問われる「食と農のつながり」の用語を整理します。食料自給率の2つの計算方法、6次産業化、地産地消、トレーサビリティの違いをまとめました。

農業基礎(共通)では、栽培や畜産の技術だけでなく、農業と社会・食のつながりに関する用語も出題されます。これらは計算や理屈ではなく用語の意味を知っているかどうかで決まる問題が多く、確実に得点しやすい分野です。取りこぼさないよう整理しておきましょう。

食料自給率には2つの計算方法がある

食料自給率は、国内で消費される食料のうち、どれくらいを国内生産でまかなえているかを示す指標です。ここで重要なのは、計算方法が複数あることです。

カロリーベース総合食料自給率

供給熱量(カロリー)をもとに計算する方法です。国民に供給された総カロリーのうち、国産のものが占める割合を示します。日本のカロリーベース自給率は近年4割前後で推移しており、主要先進国のなかでは低い水準です。

カロリーベースが低くなる理由の一つに、畜産物の扱いがあります。国内で育てた牛や豚であっても、飼料を輸入に頼っている分は国産として計算されません。日本は飼料穀物の多くを輸入しているため、畜産物の自給率はカロリーベースでは低く出ます。

生産額ベース総合食料自給率

金額をもとに計算する方法です。国内で消費される食料の生産額のうち、国産が占める割合を示します。

野菜や果実のように、カロリーは低くても単価が高い品目は、生産額ベースでは高く評価されます。そのため生産額ベースの自給率は、カロリーベースより高い値になります。

試験では「供給熱量をもとに計算するものはどれか」という形で、どちらの指標かを区別させる問題が出ます。カロリー=供給熱量ベース、金額=生産額ベースと対応づけて覚えてください。

6次産業化:1次×2次×3次

6次産業化は、農林漁業者が生産(第1次産業)だけで終わらせず、加工(第2次産業)や流通・販売・サービス(第3次産業)まで一体的に手がけ、所得の向上をめざす取り組みです。

名前の由来は、1次・2次・3次をかけ合わせた(1×2×3=6)ことにあります。足し算(1+2+3)でも6になりますが、いずれか一つが欠けると成り立たないという意味を込めて、かけ算で説明されることが一般的です。

具体例としては、次のようなものがあります。

  • 果樹農家が自分の果実でジャムをつくり、直売所やネットで販売する
  • 酪農家が生乳からチーズやアイスクリームを製造し、併設のカフェで提供する
  • 米農家が米粉パンを製造・販売する

ねらいは、農産物をそのまま出荷するだけでは得られない付加価値を、生産者自身が取り込むことにあります。

地産地消:地域で生産し、地域で消費する

地産地消は、その地域で生産された農産物を、その地域で消費しようという考え方です。直売所や学校給食での地場産物の利用などが代表的な取り組みです。

期待される効果には次のようなものがあります。

  • 生産者と消費者の距離が近く、顔の見える関係を築ける
  • 輸送距離が短くなり、輸送にともなう環境負荷を減らせる
  • 地域の農業や食文化の維持につながる
  • 消費者は新鮮な農産物を入手しやすい

なお、食料の輸送量と輸送距離をかけ合わせた指標をフードマイレージといいます。遠くから運ばれた食料に頼るほどこの値は大きくなり、環境への負荷が大きいと評価されます。地産地消はフードマイレージを小さくする取り組みでもあります。

トレーサビリティ:たどれるようにする仕組み

トレーサビリティは、生産・加工・流通の各段階で記録を作成・保存し、食品がどこから来てどこへ運ばれたかをたどれるようにする仕組みです。英語の trace(追跡する)と ability(できること)を合わせた言葉です。

目的は、食品事故が起きたときに原因を特定し、対象となる商品を素早く回収できるようにすることにあります。また、消費者が生産履歴を確認できることで、安心につながる面もあります。

日本では、牛肉と米について、法律にもとづく制度が設けられています。

食の安全に関わる制度

食と農の分野では、安全に関わる制度もあわせて問われます。

ポジティブリスト制度

ポジティブリスト制度は、残留基準が定められていない農薬などが一定量(一律基準)を超えて含まれる食品の流通を、原則として禁止する制度です。

「使ってはいけないものを列挙する(ネガティブリスト)」のではなく、「使ってよいものと基準を定め、それ以外は原則禁止」という考え方に転換したのが特徴です。名称と考え方をセットで覚えておきましょう。

HACCP(ハサップ)

HACCPは、原材料の受け入れから製品の出荷までの工程を分析し、危害が起こりやすい重要な工程を継続的に監視・記録することで、食品の安全を確保する衛生管理の手法です。

完成品を抜き取り検査する従来の方法と違い、製造工程を管理して問題の発生を未然に防ぐ点に特徴があります。食品系でも問われるテーマです。

フードチェーン

農林水産業(川上)から、製造業・卸売業(川中)、小売業・外食産業(川下)を経て消費者に届くまでの一連のつながりを、総合的にとらえる考え方をフードチェーンといいます。トレーサビリティは、このフードチェーン全体で記録をつなぐ仕組みだと理解すると、関係が整理できます。

農業と環境・社会

近年は、農業と持続可能性を結びつけた出題も見られます。

SDGsは、2015年に国連で採択された、2030年までの達成をめざす「持続可能な開発目標」の略称です。17の目標が掲げられており、食料生産や環境保全は中心的なテーマの一つです。

また、農業の持つ役割として、食料生産以外の多面的機能も重要です。水田が雨水を一時的にためて洪水を防ぐ機能、農地が維持されることによる景観や生物多様性の保全などが挙げられます。

演習で確認しよう

この分野は、用語の意味を正確に区別できているかが問われます。農業基礎(共通)の一問一答には、食料自給率・6次産業化・トレーサビリティ・ポジティブリスト制度などを扱った問題を収録しています。

食品の安全や保存に関する内容は、食品の保存方法を整理するでも扱っています。

広告

共通(農業基礎)の一問一答で確認する ›

解説記事一覧に戻る